私の仕事はインタビューするのが主だが、インタビューされることもある。過日、WWD JAPAN.comの村上要編集長の取材を受けた。現れたのは、腿をのぞかせた短パンにスニーカーという出で立ちの村上さん。話してみて、本人のキャラクターとぴったりと魅了された。ぐんぐん興味が湧いてきて、今回のインタビューをお願いした。


メンズコレクションの取材をまとめた「WWD」7月2日号。
短パンにキャップがトレードマーク
村上さんがWWDジャパンに入ったのは2006年のこと。そして2017年4月からは、デジタル部門の編集長を務めている。オフィスにうかがった日の装いは、短パンなのにダウンベスト、頭にキャップをかぶっている。カラフルで奇抜なコーディネートが、村上さんその人と合っている。つまり村上さんは服をうまく着こなし、服はうまく着こなされている。それはなぜなのか──村上さんの話を聞いて、ファッションの本質を理解し、それを実践しているからと納得した。
「そもそも僕は、時にはこんなかっこうで静岡新聞の社会部の記者をやっていたんです」という話にまずはびっくり。新聞記者というハードな世界、しかも地方新聞社でこの装いは、さぞや目立ったに違いない。「随分と注意もされましたが、笑ってごまかして(笑)、どれだけ言っても変わらないので、しょうがないやつとあきらめられたのかもしれません」とにっこり。愛嬌という持ち味も、実は本人、良い意味でわかって使っているのかもしれない。
幼い頃からファッションが好きだったという村上さん。大学で教育学を学ぶかたわら、タウン誌の編集アルバイトをしていた。いざ卒業ということで、いろいろな縁が重なって地方新聞に就職したのだが「人はそれぞれドラマを持っていて、記者としてそれを丁寧に紡ぐことを学び、実践できたのは勉強になりました」。私もデザインやブランドのことを書く時、その土台は人が支えているし、人がつくるストーリーに醍醐味があるとかねがね感じていたので、この言葉にうなずかされた。
その後、25歳で静岡新聞を辞め、好きなファッションを勉強したいと、ニューヨークのFIT(ファッション工科大学)でAdvertisement & Marketing Communicationを学んだ。「幅広い実学を身につけたことは大きな成果。卒業制作は実際に雑誌一冊を丸ごと作ることでした」という経験を経て卒業。そのままニューヨークで編集者のアシスタントを務めた後、WWD ジャパンの仕事に就いたのだ …