かつてのイメージを超えて、大きく進化するインハウス。企業によってそれぞれに形態や役割が異なり、決まった形はないが、取材を重ねて見えてきた共通点を振り返る。
川上にリポジション 事業・経営のより近くへ
これまで一般的に、インハウスでクリエイターを抱えるメリットは、コスト面やスピード、ノウハウやナレッジの蓄積など、主に効率面から語られることが多かった。デザイン会社からクライアントに転職するクリエイターのモチベーションも、受注から発注側へと立場を変えることでステップアップしたい、労働環境を改善したいといった期待が高かったように思う。
だが、今回の取材を通して見えてきたのは、こうしたイメージの何歩も先を行き、アクティブに変化するインハウスクリエイティブの姿だった。パナソニックや富士フイルムのように以前からデザインセンターを抱えていた大手メーカーでは、組織体制を変化させ、デザインプロセスそのものを見直すことで、新しいデザインや商品を生み出そうとしている。デザイナーの育成方針を見ても、部内の壁やカテゴリの壁を取り払い、変化の時代に対応する領域横断型のデザイナーを育てようとしている …