ヤフーの「クリエイティブボード」は、2014年に設立されたデザイン横断組織だ。300人以上のデザイナーを集めたデザインミーティングによって「Yahoo! JAPANデザイン原則」を策定するなど、独自の取り組みを行っている。
全社観点で横串を通すためのデザイン横断組織
ヤフーが全社デザイン横断組織「クリエイティブボード」を設立した背景について、同ボード キャプテンの長谷川真也さんは次のように話す。
「ヤフーにはYahoo! ニュースやYahoo! 検索、Yahoo! ショッピングなど100種以上のサービスがあり、エンジニアを筆頭に、デザイナー、編集者など、それを支えるさまざまなクリエイターが存在します。サービスの規模もクリエイターの人数も増え続ける中で、デザインの共通ルールやデザイン品質の目線合わせが課題になっていました。そこで、2014年に全サービスのデザインに横串を通すための組織として、クリエイティブボードを設立しました」。
同様に、テクノロジーやエディトリアル、データなど他職種のボード組織も社内には存在している。
クリエイティブボードは、社内のデザイナー職から選ばれた年齢も領域もバラバラな6名で構成され、メンバーは定期的に入れ替わる。その役割は大きく3つある。1つ目は経営層と現場をつなぐ役割だ。現場のデザイナーから出される意見や課題を経営層に伝え、共に方針を作っていく。特にデザイナーからの中長期的な目線の提言を経営層に伝え、コミュニケーションを取るのは重要な役割だ。
2つ目は会社として解決すべきデザインの課題を拾い上げること。個別のサービス開発の中では解決できない、人、環境、仕組みなどの横断的な課題の改善策を考えていく。3つ目は「事態対応」と呼ばれる、外的要因への対応を決めること。例えば新しいiPhoneが発売された時、サービスへの影響を考慮しUIや実装の方針をどうするのか。サービスを横断する方針策定と旗振り役が必要になってくる。
なお、ヤフーにおける「デザイナー」職は現在では400名を超えている。UI設計、ビジュアルデザイン、テクニカルデザインなどの職種があるが、その定義は変革期にあるという。「表層的なデザインを作ることのみを『デザイン』とは呼ばなくなっているのは確実です。よりよいサービスや体験をつくるのに、社内で誰がどう役割を果たすべきかは、デザイナーに限らず色々と模索をしているところです」 …