大ヒットブランド「BOTANIST」を筆頭に、美容家電やスキンケア、サプリメント、ドリンクなど多数のヒットブランドを持つI-ne(アイエヌイー)。同社のインハウスチームがどのように会社の急成長を支えているかを聞いた。
商品開発のスタートから全職種が参加して考える
2015年に発売した天然植物由来成分配合のボタニカルシャンプー「BOTANIST」は、ノンシリコン、オーガニックに続く"第3のシャンプー"として注目を集め、急スピードで大ヒット商品へと成長した。同ブランドを展開するI-neは、美容分野を中心に、さまざまなヒットブランドを持つ。2017年に10周年を迎え、近年は毎年200%近いペースで急成長を続ける注目企業だ。
そんな同社では、クリエイティブをインハウスチームが手がけており、社内にブランドディレクター、デザイナー、SNSディレクター、コピーライター、映像クリエイター、Webディレクター、LPディレクターがいる。クリエイティブスタッフが主に所属する「BDマーケティング本部」は、戦略を担うマーケティング部と、ブランディングやクリエイティブを担うブランディング戦略部に分かれており、商品開発の起点となるミーティングには、両チーム、そして商品開発本部、販売本部など他の部署からもメンバーが参加するのが特徴だ。
同社の開発の流れを、I-ne 取締役 BDマーケティング本部長の今井新さんは次のように説明する。「まずはBDマーケティング本部でブランドのコンセプトを設計します。その後ブランドごとに社内からメンバーをアサインして1つのブランドチームをつくり、商品開発がスタートします」。
クリエイティブスタッフを束ねるのは、ブランディング戦略部のブランドディレクターだ。アートディレクターとクリエイティブディレクターを兼ねたポジションで、ブランドの世界観を決定する。
SNSディレクターは、毎日のSNSの情報発信およびユーザーへの返信が主な業務で、タイムラインに投稿する動画制作なども行っている。SNSでの日々の反応をリサーチし、チームにフィードバックする役割も担っている。デザイナーは商品パッケージや販促ツールのデザインを行い、コピーライターはWebや紙のツールのライティングを担っている。
「ブランドの起点となる打ち合わせから全員に参加してもらうことで、デザイナーであれば商品デザイン、商品開発本部なら商品成分、販売本部なら店舗やECでの売り方のアイデアなど、各部署からの提案を集めながらブランド開発が進められます。それに、インハウスで制作することで、商品のよさやブランドのメッセージをお客さまに直接届けることができます。創業当初はデザインの外注もしていたのですが、伝言ゲームのような形だと自分たちの思いを伝えきるのが難しいと感じ、なるべく内制できるよう積み重ね、今のような形になりました」と今井さんは説明する。
また、社内に蓄積されていく販売データや広告物の反応をクリエイターが把握できるため、PDCAを早いサイクルでクリエイティブに反映させられる。それこそがインハウスの最大の強みだという。
「お客さまからのレビューを常にチェックし、『こういう要望があったから、こんな商品はできないか。ここは改善しよう』と紐解いていきます。言われたものを作るスタンスではなく、商品をよりよくするためには、より多くの人に届けるためには何をしなければいけないかを全員が考えます」。だから、ディレクター、デザイナーと言っても考える範囲は通常よりも広い。その分大変だが、やりがいはある。エンドユーザーの反応を感じながら作りたいと、制作会社などから転職してきたメンバーも実際に多い …