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名作コピーの時間

僕はコピーライターの難しさと奥深さを味わっている。

上島史朗

    ナイフで切ったように夏が終わる。

    パルコ/1982年
    〇 C/長沢岳夫

    「かわいい女」268ページでフィリップ・マーロウがほめているバーボン。

    サントリー「オールド・フォレスター」/1989年
    〇 C/米嶋剛

    ポッカリと時間のあいた日曜の午後、まさかアイスクリームでもないだろう。

    サントリー「オールド」/1985年
    〇 C/小野田隆雄

名刺にコピーライターという肩書がついたのは、30歳を過ぎてからだった。

30代の前半、転職を機に突然ついたこの肩書の重苦しさに、僕は一人勝手に喘いでいた。興味や憧れがなかった訳ではない。でも、自分にはなれないんじゃないか。向いていないんじゃないか。もうすこし違うところで勝負したほうがいいんじゃないか。そうやって、直視するのを避けてきた。この職業は、もっと憧れて憧れて憧れた人がなる気がしていたが、恥ずかしながら僕は少し違った。

でも、名刺を見ればそこには「コピーライター」と書いてある。名刺交換をした方は、当然だけど僕のことをコピーライターとして見る。曖昧な覚悟で対面しては、あまりにも失礼だ。そうやって、30代前半の僕は周回遅れのコピーライターとして、貪るようにコピーを吸収していった …

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手品みたいに出してくるやつが一番だめなんです。
コピーや広告についての 「よく出来てるね」という感想が苦手です
僕は法学部なのにコピーライターを志望する確信犯になった。
「どう言うか」にバカみたいにこだわる。 
名作コピーは、ときに誰かの思い出になり、ときに誰かの人生を変える。
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