4年目を迎えた「ものづくり産地の祭典」の新展開
今年の10月に4年目を迎える、新潟県 三条市のイベント「燕三条 工場の祭典」。今年は金属加工の「工場」に加えて、農業の「耕場」が加わりパワーアップしている。全体監修を行うmethod 山田遊さんとアートディレクションを担当した一人、SPREADの小林弘和さんに話を聞いた。
地域の可能性を引き出すクリエイティブ
2013年から宮城県松島湾で始まった「つながる湾プロジェクト」は、周辺地域に暮らす人びとにゆるやかな連携を生み、アートと文化の力で地域の誇りを醸成するプロジェクトである。
2013 年5 月、宮城県松島湾の浦戸諸島で開催された「塩竈浦戸のりフェスティバル」に一艘の変わった小舟が現れた。アーティストの日比野克彦さんが企画し、2012 年に京都を出発した「TANeFUNe(タネフネ)」が日本海での航海を経て、松島湾を訪れたのだ。
TANeFUNeは塩竈市と浦戸諸島(松島湾の入口にある島群の名称)に数カ月滞在。本土である塩竈と浦戸諸島の島々をつなぎ、人と人、地域と地域を出会わせ、“受粉”させるような役割をこの間担うことになった。
この船が松島湾に赴くきっかけになったのが、実は東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京だと聞けば驚くだろうか。アーツカウンシル東京は東京の芸術文化支援事業、創造発信事業などを担う団体だが、2011年の震災以降、現地のアートNPOなどと連携した被災地支援を試みてきた。当初は仮設住宅のコミュニティ支援など直接的なプログラムを行っていたが、2013年以降はより中長期的な視点での活動が必要だと考え、地域の人々と共に改めてこの地域をリサーチしてきた。
リサーチの結果、松島湾という財産とともに歩んできたこの地域の文化的なポテンシャルの大きさを感じ、「海からの視点」をテーマに活動していた日比野さんのTANeFUNeに白羽の矢が立った …