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空間・立体 ブランド体験

事例から学ぶ シェアを生む空間デザイン

室井淳司(アーキセプトシティ)

ブランドの空間づくりにおいて、欠かせない視点になってきているのが、ソーシャルメディア上でいかに話題にさせるかだ。話題性の高い数々のブランド空間を作って来た室井淳司さんに、空間を話題化させる設計や工夫のポイントを解説してもらった。

商品を「モノ」ではなく「コト」として捉える

ブランド空間施策というと空間のデザインに目がいきがちですが、本質は生活者にブランドをいかに体験してもらい、どのような記憶を持って帰ってもらうかという情報デザインです。ブランド体験とは、空間があり、商品があり、人的オペレーションがあって初めて成立します。これらは有機的な関係性を持つべきで、独立したプロセスで開発するべきではありません。ブランド体験をつくるということは、ブランドや商品の情報を複合的な視点で、体験としてまとめていくということです。

では、ブランド体験とはどのような視点で発想するべきでしょうか。ここで重要になってくるのが、商品を「モノ」ではなく、「コト」として捉える視点()です。モノは、生活者の人生を彩るコトに分解できます。例えば車はモノですが、生活者が購入しているのは、車を介して得られる行動範囲の拡張、選択肢の多様化、ドライブを通して得られる楽しい時間、つまり、人生を豊かにする「体験(コト)」です。この、モノがもたらすコトの本質を考えることが、ブランド体験を考えるはじめの一歩となります。

次に、「話題化」について考えてみたいと思います。企業が施策に投資をする限り、話題になってほしいと思うことは当然です。しかし、話題化やシェアは結果であり、目的であってはいけません。特にシェアは生活者がブランド体験を楽しいと感じた時に初めて生まれます。シェアを強制的に生むために唐突にフォトスポットを設けることは施策の本質ではありません。体験者が誰かに伝えたいというモチベーションを生む魅力的なブランド体験を作ることこそ …

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