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空間・立体 ブランド体験

映像活用しBtoB企業のコミュニケーションを担う 体感型ミュージアム

INPEX「INPEX MUSEUM」

国際石油開発帝石(INPEX)は、2015年6月1日、新潟県上越市の同社LNG(液化天然ガス)受入基地内に企業ミュージアム「INPEX MUSEUM」をオープンした。同社の主力事業で取り扱う天然ガスについて、巨大な270°スクリーン上に投影するプロジェクションマッピングを駆使しながら理解していくための施設だ。

01 ミュージアムは7.2×3.4メートルの円筒形になっており、中に270°の円環スクリーンが設置されている。

基地見学者に向けた施設がほしい

目の前の円筒形スクリーンを巨大な恐竜たちが横切っていく。やがて、太古の生物たちの身体は積層し、エネルギー資源としての天然ガスへ――「INPEX MUSEUM」は、日本最大の石油・天然ガス開発企業であるINPEXの企業ミュージアムである。場所は、新潟県上越市のINPEX直江津LNG基地敷地内。同社が2013年12月から操業を開始した施設で、液体の状態で海外から輸送してきたLNGを受入れ、貯蔵し気化させた後、同社が保有する1400キロメートル超の幹線パイプラインネットワークを通じて関東甲信越の一都七県に天然ガスを送り出す中核拠点だ。パイプラインで送られたガスは、工場や都市ガス事業者などに供給され、一部は生活者の元へ届く。

同基地には、国内外から取引先や投資家などが頻繁に視察に訪れる。また地域住民や学生たちから見学の要望もある。こうした一般から専門家に至る幅広い来場者が、天然ガス開発事業の全体像を容易に理解できる施設の必要性を同社は感じていた。

そこで声がかかったのが、映像クリエイティブ会社のP.I.C.S.である。P.I.C.S.はそれ以前に基地内のコントロールブースセンター(ガスのパイプライン上の配給などをコントロールする施設)のブースデザインを手がけており、その実績がミュージアムの企画・設計の依頼につながった。

02 基地内にある建物の1階部分のスペースがミュージアム。

BtoBのコミュニケーションにエンターテインメントを

「天然ガスは、日常生活においては意識されづらく、イメージがわきづらいものです。そこで、天然ガスについて理解や関心を高めるための体験設計とは何か?から考えていきました」とP.I.C.S. プロデューサーの弓削淑隆さんは話す。一般の人に、天然ガスが生活の場に届くまでのつながりをどうすれば理解してもらえるか。INPEXの専門家にもヒアリングを重ね、集めた情報を整理した上で、わかりやすく、エンターテインメント性を持ったコンテンツに変換していくことが求められていた。

体験は2段階で設計した。前半は、時空を超えて天然ガスと人類のつながりを描いた物語。時間軸と空間軸の両面から天然ガスの由来を描き、理解を深める。後半は …

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