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グッドデザイン賞に見る、暮らしを変えるデザイン

32年の時を経ても色褪せない存在感

大塚製薬 栄養調整食品「カロリーメイトブロック」

大胆なイエローとタイポグラフィだけの美しい文字組。ロングセラーのバランス栄養食「カロリーメイト」は、発売開始当時のデザインを維持しながら長きにわたり市場で支持されてきた点がグッドデザイン賞に評価された。

○AD+D/細谷巖 ○T/深野匡(ライトパブリシティ)

メッセージ性の高いデザイン

時間や場所を選ばす、身体に必要な5大栄養素を手軽に摂れるバランス栄養食カロリーメイト。携帯・保存性に優れ生活のさまざまなシーンで多くの人の食生活を支えてきた。カロリーメイトのことを聞かれたら、多くの人が“黄色いパッケージ”を思い浮かべる。そのデザインは1983年の発売開始から現在まで、ほとんど変わることなく店頭に並んでいる。

「お菓子ではなく、栄養バランスとその必要性を頭で考えて食べる食品。発売開始当時、栄養機能を強く打ち出した製品が他にない中で、製品コンセプトをパッケージデザインでも表現する必要がありました」(カロリーメイトPMM仲尾綾さん)。デザイナーは製品説明を聞いた時、文字だけで“人に必要な栄養素がバランスよく入っている”という食品としてのシズル感を表そうと直感的に思いついたという。含有する栄養成分を全面的に打ち出し英語で記載。メッセージ性の高いデザインに仕上げた。製品ロゴは新しい発想の製品にクラシカルな文字をあえて採用。意外性とオリジナリティを生んだ。

どんな商品でも時を経ると時代とのズレが生じてくる。色褪せないカロリーメイトのデザインは唯一無二のパッケージとして、いまなお存在感を増している。

 

日本のパッケージデザインの名作

大塚のカロリーメイトが、今年Gマークのロングライフデザイン賞に決まりました。当然のことでしょう。こんなに素晴らしいデザインが世の中に在り続けているということが、デザイナーとしてとても嬉しいのです。黄色の箱と印象的なロゴタイプだけで成り立っているからゆえに、新商品が毎年次々に出る店頭でも、32年間常に目立ち続けている。私は個人的に、大塚のカロリーメイトは、日本のパッケージデザインの名作だと思っています。そして中身、つまり商品としても名作だから、今でもデザインを変えずに残っているのでしょう。自分自身、今でも時間のない昼食時やスポーツの後などにしばしばお世話になっています。生活の一部化していると言っても過言ではありません。商品として、パッケージデザインとして、そしてロゴタイプのお手本として、自分の中では今でもひとつの指標になっています。

佐藤卓(さとう・たく)

東京藝術大学デザイン科卒業、同大学院修了、電通を経て、佐藤卓デザイン事務所設立。「明治おいしい牛乳」のパッケージデザイン、金沢21世紀美術館や国立科学博物館のシンボルマークを手掛けるなど多岐にわたって活動。

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