2014年12月15日、トヨタ自動車は新型燃料電池自動車「MIRAI」を発売した。これまでにない車の発売に先立ち、同社はこれまでにない規模と手法でプレゼンテーションを実施した。
01 2014年11月18日に日本科学未来館全体を使って実施されたプレゼンテーションより。「発表会を一過性のものにするのではなく、発表会自体をコンテンツとして残す」ことを当初から考えて、全体を設計。発表会のダイジェスト版映像は現在、Youtubeで公開中だ。また発表会でも使用されたMIRAIの走行性を見せる映像、水素エネルギーについて説明したアニメーション映像も公式サイトで公開されている。
機能を説明するための3D映像
「MIRAI」は水素を燃料とし、空気中の酸素を反応させてできた電気で走る車。走行中に二酸化炭素や排出ガスを出さない「究極のエコカー」である。こうした車の販売は世界でも初めてのこと。自動車業界にとっても大きなニュースとなったのは記憶に新しい。
トヨタ自動車では発売に先立ち、11月18日に東京・日本科学未来館で、「MIRAI」の発表会を実施した。当日は国内外のマスメディア1000人以上が来場。トヨタ自動車 加藤光久副社長を中心に実施されたプレゼンテーションはまさに最先端の車らしく、3Dホログラフィック映像とLED映像、さらに実車を組み合わせたこれまでにない内容。訪れた記者たちの多くが「ショーを見ているようだった」と感想を述べている。
このプレゼンテーションをディレクションしたのは、電通エグゼクティブ・クリエーティブディレクター 岸勇希さんだ。「発表会で加藤副社長が“水素を将来の有力なエネルギー、燃料電池自動車(FCV)を究極のエコカーと位置づけている”と話されたように、MIRAIはトヨタ自動車にとってはプリウスを超えるイノベーション。自動車の歴史、日本の水素エネルギー活用においても、ターニングポイントとなるできごとです。新しい車の発表にとどまらず、新しい社会が始まることをメッセージしていかなくてはいけない。それにあたっては、記者発表においてもターニングポイントとなるくらいの演出とストーリーテリングが必要だと思いました」(岸さん)。
プレゼンテーションにおいて重視したのは ...