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私のクリエイティブディレクション論

周りの意見を聞き、次々と新しい知見を得る

池田伸一(I&S BBDO)

第一線のクリエイティブディレクターが考える、CDの役割とは。今回は、2013年クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリストに選出された、I&S BBDO の池田伸一さんが登場。チームで考えることを重視するという自身のディレクションのスタイルについて聞いた。

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池田伸一(いけだ・しんいち)
I&S BBDO シニア・クリエイティブ・ディレクター。1992年に前身のI&Sに入社。CFプランナーを経て、現職。ACCグランプリ・総務大臣賞、TCC新人賞、カンヌライオンズ金賞、スパイクスアジア金賞など、受賞多数。

周りの意見を聞き次々と新しい知見を得る

――これまでのキャリアを教えてください。

私が学生の頃は、広告界全体に勢いがあって、華やかだった時代。楽しそうだな、広告会社に入りたいなという漠然とした思いがありました。コピーライターやデザイナーといった職種は美大出身の人がなるものと思いこんでいましたから、一般大学に在学していた私は、マーケティング志望ということで面接を受けました。実際にはマーケティングがどんな仕事をするのかも知りませんでしたが、縁あって当社の前身であるI&Sに入社することができました。

初期配属のメディア部門で3年間働くうちに、「元々はマーケ志望だったのに、このままでいいのだろうか」と疑問を持つように。そんなとき、「クリエイティブテスト」という転属試験があることを知りました。美大卒以外の人にもクリエイティブ職への門戸が開かれていることに驚きつつ受けてみたら、なんと合格。プランナーとしてクリエイティブ部門に配属されました。そこからは、今日に至るまで、絵コンテを書き続ける毎日。コンテを書いているうちに、いつのまにかCDになっていたというのが正直な印象です。

マーケ志望だったのにクリエイティブ?と思われるかもしれませんが、「自分が考えた何かで、世の中をざわつかせる」という点では共通しています。いま世の中はどんなことを考えているんだろう?と調べてみる。そして、「こんなことを言うと、こんな反応があるんじゃないか」「こんなことをすると、どうなるんだろう?」と考えて、世の中に投げかけてみる。その結果、変質した世の中を見届けて、「今度はこんなふうにしてみたらどうだろう?」と繰り返していく。投げかけるものと投げかけ方が違うだけで、世の中に向き合う姿勢やアプローチの仕方は、マーケもクリエイティブも変わりません。しかし、いまクリエイティブディレクターとしてここにいるということは、クリエイターとして世の中と関わっていくのが、私には合っていたということなのだと思います。

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01 ロッテアイス 雪見だいふく「変わってる」篇

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02 ロッテアイス ザクリッチ「ザクリッチガールズ」篇

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03 花王 リセッシュヒーリングアロマ「誕生」篇

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