滋賀県 琵琶湖畔の職人とのコラボレーションブランド「器湖(きこ)」、沖縄県セルプセンターによるブランド「琉Q(ルキュー)」。キギの2人は、プロダクトブランドの開発を中心に、こうした地域発のプロジェクトに声をかけられる機会が増えてきたと話す。
植原亮輔(うえはら・りょうすけ)(左)
渡邉良重(わたなべ・よしえ)(右)
ドラフトを経て、2012年にキギを設立。企業、ブランド、ショップなどのアートディレクションのほか、D-BROS(ドラフト)での商品開発を継続的に行う。
ブランドは「運営」する意識で
「最近、さまざまな地域の方から相談を受けることが増えました。こういうものをつくってほしいという具体的な依頼よりも、『何とかしたい』という相談が多くて、当事者に熱い思いを持っている人が多い。『やる気はあるけれど...』という状況が全国各地にあるのだなと感じます。僕らは、彼らと同じ船に乗って、皆で燃料を入れながらエンジンをかけていく。ビジネスとしてというより、地元の人々がブランドにかける思いや、人と人とのつながりを楽しむことに主眼を置いています。“地元の祭り”に参加するような気分です」とキギの植原亮輔さんは話す。
プロジェクトを進めていくにあたっては、まず地元の人々と話をし、その地域の「好条件」「悪条件」の両方を探す。そこから、その地域でできること、やるとよいことを見出していく。ゴールまでの過程では何度も話し合いを重ねながら意思や方向性を共有し、互いの気持ちを盛り上げていく。ブランドは継続して「運営」していくものだというのが、キギの考え。「ブランドとは惑星のようなものです。つくるだけでなく、自転・公転し続けるようにしなければなりません」と植原さんは言う。それゆえ、ブランドとデザイナーとの関係づくりを重視する。企画がスタートする時点で、少し先の未来も含めたプロジェクトの全体像を共有し、クリエイターと地元の人々がそれぞれどのように関わっていくのかを明確化し、取り決めを行う。それが、クオリティを維持しながらブランドを継続させていく秘訣だという。