映像の力を社会貢献の力に
さまざまな社会課題の解決のために活動するNPOやNGO。彼らの多くに共通する課題は、コミュニケーションスキルの不足によって、自分たちの活動が十分に世の中に伝えられないことだ。協力者や支援金を募るために、こうした組織はさまざまな制作物や表現を必要としている。
「PVプロボノ」は、こうした組織とプロの映像クリエイターをマッチングし、映像制作を通じてその活動を支援するプロジェクトだ。クリエイターの中には社会貢献したくても、具体的に何をしたらいいかわからない人もいる。この2者を結びつけるのがプロジェクトの役割。活動を開始した昨年度は計11本の映像を世に送り出した。映画、広告、テレビなどさまざまな分野のクリエイターが参加している。
運営メンバーは、CMディレクター新井博子さんをはじめ、高橋克人さん(前 アームズ社長)、カメラマンの高橋聡さん、ライターやWebデザイナーなどフリーを中心としたクリエイターたち。新井さんは、3.11後に復興イベントの映像を作る活動に携わる中で、それまで関わってきたような大きな予算を持つ企業以外の場所に、映像のニーズがあると知った。それがPVプロボノの立ち上げにつながった。
事務局では、毎年支援先と参加クリエイターを募り、内容によって両者をマッチングし、完成までの過程をフォローしていく。クリエイターには交通費・宿泊費などの実費に加え、1日当たり8000円ほどの制作費が「謝金」として支払われる。プロダクションやフリーの映像クリエイターにとって、普段クライアントと話せる機会はめったにない。NPOの担当者らと顔を突きあわせて行うPVプロボノの映像制作は、クリエイターにとっても知見を広げるいい機会になっている。