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今月のソーシャルプロジェクト

社会的課題をキャッチ―に伝えていく Webメディア「Le Toit」創刊

Web新聞「Le Toit」【ルトワ】

博報堂の有志クリエイターが立ち上げ

01 トップページ。「Le Toit」はフランス語で「屋根」。同じ「社会」に生きる者が、互いに支え合えるやさしい社会をつくっていきたいという願いを込めた。ロゴデザインは永井一史さん。

2013年11年、「ソーシャルインクルージョン新聞」を標榜するWebメディア「Le Toit」【ルトワ】が創刊された。「ソーシャルインクルージョン」とは、貧困層や派遣労働者、ニートやひきこもりの若者たち、セクシャルマイノリティなど、今の社会で生きづらさを抱える人たちに、社会参加と経済的自立の機会を提供していく運動のこと。さまざまなソーシャルインクルージョンの事例を通じて、問題を知る、考えるきっかけとし、読んだ人のアクションにつなげたい、という思いで運営されている。

博報堂 ソーシャルクリエイティブプロデューサーの山田エイジさんを中心とした有志の博報堂グループのメンバーが企画・運営を行い、コンテンツ制作には外部のクリエイターも協力する。山田さんは、東日本大震災以降さまざまな復興活動を行ってきたが、その中で「被災地の問題は日本全体の問題である」と気づきを得たことが、ルトワ創刊につながった。「『会社』や『地域』『家族』というセーフティネットからこぼれ落ち、苦しんでいる人がいます。日本は課題先進国です。あまり報道されませんが、いま日本の貧困率は先進国の中でも相当高いレベルです。それまでビジネスの最前線でモノを売ってきましたが、よって立つ社会そのものが揺らいでいる。これまで培ってきた課題解決のクリエイティブのスキルをそこに生かせないかと考えました」。

シリアスに伝えるだけでは人は聞きたがらない。大事なのは伝え方だ。そこで「×イラスト」「×写真」「×女優」など、問題にクリエイティブを掛け合わせてエンタメの要素を持たせ、「読みたい」コンテンツにするのがルトワのやり方だ。

もう一つの特徴が、オープンな制作体制。取材の同行者を募集する取材ツアーや、他のメディアとの共創など、自由な発想でコンテンツを作る。今後は制作過程に企業やNPOも巻き込んでいきたいという。「違う立場の人や組織をつなぎ、お金を回していけることが、広告会社にいながらこうした活動をする一つの意味」だと、博報堂のアートディレクター 吉田裕美さんは話す。

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