世界で最も権威あるPRの国際広告賞「SABRE AWARD(セイバー賞)」。PR業界情報の専門会社ホルムス・レポートを率い、同賞の仕掛け人であるポール・ホルムスさんに、2013年のセイバー賞の審査と、これからPRが果たす役割について話を聞いた。
24年の歴史を持つPRアワード
「SABRE」とは「Superior Achievement in Branding and Reputation」の略であり、その名の通り、セイバー賞はブランディングおよびレピュテーション(評判)の構築において優れた業績をおさめたPRキャンペーンを表彰する。
現在では北米、ヨーロッパと中東、そしてアジアと、それぞれの地域でもアワードが開催されており、各地域で評価されたPRキャンペーンの世界決定戦として、グローバルにおけるセイバー賞が開催される。直近では、2013年セイバー賞の各賞が、昨年11月に発表された。PRにおける優れたクリエイティブとは、非常に主観的に判断されるものだと、ホルムスさんは話す。「アイデアを重視する人もいれば、コンテンツを重視する人もいますし、結果を重視する人もいます。もちろん素晴らしいキャンペーンというのはこれら3つすべてにおいて優れているものだと私は信じていますが、そこにしっかりした審査基準を設けることは難しいのです」。そうした状況の中、13年のセイバー賞で最高賞の「TOPHonor」に選出されたのは、イギリスの総合スーパー マークス&スペンサーが実施した、「Shwopping(ショワッピング)」キャンペーンだ。
02,03 TOP Honorを受賞したマークス&スペンサーの「Shwopping」キャンペーン。
店舗を1万着の古着で覆いつくし、古着の提供を呼びかけた(02)。提供者は古着を各店舗に設置された「SHWOP DROP BOX」(03)に入れて寄付する。
買い物ついでに古着を寄付
「アイデア、コンテンツ、結果すべてが結びついた素晴らしい例」だとホルムスさんが話すこのキャンペーン。企画したのはイギリスの新進気鋭のPRブティックUnity。「ショワッピング」とは、ショッピング(買い物する)とスワッピング(交換する)をかけ合わせた造語であり、このキャンペーンは「マークス&スペンサーで買い物をする際には、古着を持参しよう」と呼びかけるものだ。
消費者は、買い物の際にいらなくなった古着を持参し、マークス&スペンサーの店舗内に設置された「ショワップ・ドロップ・ボックス」の中に入れるだけ。そうして集められた古着は貧困支援団体に提供され、そこから発展途上国へ寄付されるか、もしくはイギリス国内のリサイクルショップにて再販売され、その売上げが世界の貧困撲滅や人道支援のための活動に使用される仕組みだ。