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デザインの見方

30年機能し続けるカロリーメイトのパッケージ

阿字地睦(アサツー ディ・ケイ)

大塚製薬 カロリーメイト
○AD/細谷巖

カロリーメイトが発売されたのは1983年ですが、以来約30年間、このパッケージデザインは、ほとんど変わっていないんです。途中でロゴの太さが少し変化した以外は、そのままです。発売当時、僕は浪人生でしたが、パッケージも、それから商品そのものも「いったいこれは何だろう?」と思わせるインパクトがありました。80年には、同じく大塚製薬からポカリスエットが発売されていますが、そのときと同じような、どのカテゴリーにも属さない新しさを感じたのを覚えています。

その後、僕は金沢工芸美術大学に進学し、そこで工藤俊之さん(現金沢美術工芸大学教授)の広告論を受講しました。当時、工藤さんはライトパブリシティでお仕事をされていて、いまでも覚えているのですが、講義のために教室に入ってきた工藤さんがいきなりライトパブリシティの作品集を皆に見せた。そのとき、「お前らそんなに後ろからこの仕事が見えるのか。見えないなら、机の上に立ってでも見ようとしろよ」とおっしゃったんですね。そのキラ星のような仕事群と工藤さんの言葉で、広告の仕事がなんだか自由でワクワクするものなんだ、と感じたのを覚えています。その仕事群の中に、カロリーメイトのパッケージもあり、細谷巖さんが手がけられたということを知りました。

いま、僕自身パッケージを手がけることが多いのですが、改めてパッケージデザインの大切さを実感しています。パッケージデザインというのは商品のエッセンスを凝縮し、生み出されるもの。優れたパッケージとは、そこでかたちづくられた世界観が、いい意味で広告コミュニケーションの世界観までをも支配してしまうものです。そのいい例が、カロリーメイトのデザインだと思います。

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