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2014年注目のクリエイティブチーム

ユーザーのより良い体験を追求する

フォーデジットデザイン

対象となる企業や商品のユニークポイントを引き出し、そこにユーザーの視点を加えてデザインを手がける。それによって、フォーデジットデザインはクライアントに貢献し、ユーザーにより良い体験を提供するWebサイトを生み出す。

01 左から岡部健二さん(テクニカルディレクター)、仁田雄一さん(マネージャー/ディレクター)、西垣伸之さん(クリエイティブディレクター)、米道昌弘さん(アートディレクター)、矢部一樹さん(ディレクター)。

戦略、デザイン、テクノロジーは不可分

フォーデジットデザインは、新築マンションのプロモーションサイトを主に制作するフォーデジットより、2012年7月に分社化し、設立されたWeb制作会社だ。代表の田口亮さん率いる約20人のチームで一般企業のWeb制作やアプリ開発を行っている。スタッフの多くはフォーデジット出身で、不動産関係のWeb制作を経験してきた。そのため、ヒアリングによって企業や商品の特徴、課題を理解する力が鍛えられていると、同社ディレクターの仁田雄一さんは話す。「新築マンションのプロモーションサイトは、どれも同じようなコンテンツが並びがち。差別化するためには、表現面で工夫するだけでなく、その不動産のユニークポイントをきちんと引き出すこと。そしてそのユニークポイントを基に、ユーザーの視点でデザインすることが重要です」。

そのためフォーデジットデザインでは、必ず打ち合わせにディレクターのほかデザイナーやデベロッパーが同席。制作中もデザインやモックが完成する度に集って皆でレビューを行い、戦略、デザイン、テクノロジーそれぞれの側面から検証を重ねる。

戦略、設計、デザイン、実装という一連の制作プロセスの中で、上流工程の戦略、設計はディレクターが行い、デザインはデザイナー、実装はデベロッパーと役割が分断されている制作会社が一般的である中、同社では「全行程にチーム全員で関与する」ことを重視していると、クリエイティブディレクターの西垣伸之さんは話す。「UI、インタラクション、アニメーションが重要視されるプロジェクトや、タブレット、スマートフォンにおけるマルチデバイス対応が必要なプロジェクトでは、テクノロジーによる問題解決が戦略、設計に大きく影響することが多い。デバイスの進化によってユーザーのニーズが多様化、複雑化しており、ユーザー視点で制作するためには、テクノロジーを戦略に取り入れることがより重要になってきているからです。そのためフォーデジットデザインでは、開発の初期段階から、デザイナー、デベロッパーが意思決定に参加し、多様な意見を取り入れながらコラボレーションの力で問題解決に取り組むことを重視しています」。

02 トライベック・ストラテジーWeb サイト
03 ユナイテッドアローズ アナザーエディションWeb サイト
04 富士重工業/グローバル向けSUBARU BRZ 2013 年モデルWeb カタログ

ユーザー視点による本質的なものづくり

フォーデジットが提供するアンケートツール「CREATIVE SURVEY(クリエイティブサーベイ)」を活用したデザインリサーチも、同社のユーザー視点を重視する考えが反映されている。デザインリサーチは、ネットを利用してユーザーの意見や評価を収集し、得たデータをデザインやユーザーインサイトの分析につなげるもの。自社のプロジェクトでも活用しており、デザイン提案時に「ユーザーの意見に基づいている」ことが大きな説得力になっている。

13年12月には、不動産検索アプリ「HouseeS(ハウジーズ)」を開発した。西垣さんいわく、「街の不動産屋さんで探すときの手順に近い体験にしようとした」。既存の不動産検索アプリは、例えばある駅の周辺を探したいとき、区や路線からドリルダウンして検索していくものが一般的だった。しかしハウジーズは、探しているエリアのキーワードを入力し、表示された候補の中から駅や市区町村を選択。最寄り駅や部屋の広さなど指定した条件の物件だけでなく、その条件に近いものをレコメンドしてくれる機能を持ち、実際に不動産屋さんがオススメしてくれるようなインタラクションを備えている。

このように「ユーザー視点で使いやすい」Webサイトやアプリの制作を進めるフォーデジットデザインだが、田口さんは「デジタルのクリエイティブはプロダクトの業界などと比較すると、まだまだユーザーに対する理解のレベルは浅い。PC用のWebサイト、スマホ、アプリといった、横断的な体験をデザインするプロジェクトが増えてきています。それに伴いますます、ユーザーの視点や行動への理解が重要になってきています」と指摘する。そのような状況下、フォーデジットデザインは他社に先駆けてユーザー理解を深め、デザインの価値を高めていくことを目指している。

05 CREATIVE SURVEY(クリエイティブサーベイ)

06 BLUE NOTE TOKYO Web サイト
07 MOTION BLUE YOKOHAMA Web サイト

08 不動産検索アプリ「HouseeS(ハウジーズ)」

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