マス広告にCDジャケット、ゆるキャラの公式グッズにアパレルブランドのWebサイト、地域のクリエイターによるデザイン部活動...。DELUXE.は個性の異なる3人が集まり、さまざまな色のデザインを世の中に発信するチームだ。
個々で立つことのできる3人のチーム
「自分一人で生業を営むことができる、異なる個性を持つデザイナーが集まることで、新しいチームのかたちが生まれ、デザインを本質的に追求できる環境をつくり上げることができると思っています」。DELUXE.の代表を務めるアートディレクター 秋山カズオさんはそう話す。同社は秋山さん、相田俊一さん、中須賀美和子さんの3人からなるデザイン会社だ。
DELUXE.は2009年、それぞれ別のデザイン事務所で働いていた秋山さんと相田さんによって立ち上げられた。大きな組織の中でクライアントの顔が見えない仕事をするのではなく、個人として向き合い、相手と同じだけの責任感を持ってデザインを手がけたい。それが2人に共通した考えだった。著名なデザイナーに仕事を依頼しても、手を動かしているのは別の人、というピラミッド型の組織ではなく、個々のデザイナーにファンがいて、仕事が来て、責任を持ってやりとげる。そんなスタイルを目指す。「例えば医者は薬の処方だけが仕事ではなく、患者の話を聞き、ときには薬を出さないという判断もする。デザイナーも同じで、来た仕事に対して優れたデザインを提案するだけでなく、何を求められているのかを考え、グラフィックよりWebの方がよいのではないか?といった判断をするべきです」と秋山さん。表現するだけでなく、相手の志を理解し、整理するところからデザイナーが関わる。そんなやり方を、個々のクリエイターがフラットな立場のチームを組むことで実現できると考えた。