いい広告の背景には必ず、クライアントとクリエイターのいい信頼関係がある。理想のパートナーシップを実現するために必要なことは?3名のクリエイターに聞いた。
ワンスカイ CMプランナー/コピーライター 福里真一氏
最近の仕事に、サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ「TOYOTOWN」、アフラック「ブラックスワン」など。
やる気に火をつける究極のオリエンとは
――皆さんにとってイメージが広がるオリエンとは何ですか。
福里▶イメージが広がるオリエンとは、商品が売れることによって、世の中がどうなるのか、人の暮らしがどう変わるのかを想像させるもの。その商品が売れることが、世の中にとってこうよいのだ、と伝えてくれるものです。よく「商品を売りたい」と言いますが、その先があるはずなんです。本質的なその商品の存在意義が分かれば、それがそのまま企画になる。ジョージアの「明日があるさ」を手がけたときのオリエンは、「缶コーヒーで定番の『癒し』に代わる何かを考えてください」でした。そういう大きなお題をいただくと、モチベーションも高まります。
本多▶僕たち制作者は、課題を与えられると、その解決案を自動的に考えてはじめてしまう生き物です。だからそれをうまく利用するには、問題や悩みみたいなものをそこに書いてもらえるといいんだと思います。最近担当しているスニッカーズでは、担当者の悩みは「日本の男の子たちの言の葉に載りたい」でした。「おなかがすいたらスニッカーズ」というコピーを、いまの高校生は知りません。食べ盛りの彼らに、「おまえ、腹減ってエリカ様みたいになっちゃうぞ!」と話題にしてもらうのが目標でした。
前田▶僕の場合は、オリエンでは「目立ってほしい」「売りたい」など、生っぽい話をしてくれる方が燃えます。それから、先ほどのジョージアもそうですが、究極のオリエンって、オリエン自体に企画が入っているんですよね。もう企画する必要がないくらい、シンプルで明快になっている。
I&S BBDO コンテンツディベロップメントグループ クリエイティブディレクター 本多正樹氏
最近の仕事に、スニッカーズ「t.A.T.u.」「謝罪会見グランプリ」、カルカン、など。