広告活動の健全な発展によって社会貢献につなげようとする有力企業で構成される公益社団法人日本アドバタイザーズ協会は、生活者、メディアなど企業を取り巻く環境変化に対応しながら合理的な広告活動モデルの構築にも力を入れている。後藤浩一事務局長に昨今の課題と見解を聞いた。

日本アドバタイザーズ協会 事務局長 後藤浩一氏
従来型の宣伝とデジタルの関係
数年前、当協会で会員社の担当窓口部門の名称について調べたことがありますが、その際、「広告あるいは宣伝と名の付く組織」は6割程度でした。現在では、さらに異なる部門名が増えているように思えます。これらが物語っているように、「宣伝部長」が担う役割や責任はより広範かつ多様になっています。特に大きいのはデジタル分野からの影響でしょう。
広告の分野で、マスメディアとWebの融合が言われて久しいですが、企業内でこれを実現するのは容易ではないようです。担当する人材も作法も異なり、共通言語や認識が乏しい中ではなかなかスムーズにかみ合わない状況がみられるようです。マーケティング活動の中でデジタル施策は必須の時代ですが、デジタルを担う部隊は企業によって宣伝部内、広報部内、技術系部門内、場合によっては独立した部門内に存在するといった具合で、実にさまざまです。
マスメディアとSNSをはじめとするデジタルメディアを連動させることが、広告コミュニケーション活動に求められる中、それを実現するための宣伝の組織体制は検討すべき大きな課題であり、マスとWebの間をつなぐ“何か”がいま必要なのだと思っています。アドバタイザーはその“何か”を模索しているように思えます。
様々な媒体に関する新しい広告効果指標が出揃うのは大変有益なことです。実現にご尽力をいただいた皆様には大変感謝いたします。
しかし、広告出稿の現場では、個々のデータではなく、それらが有機的に結びつかないことには有効なデータにはなり得ません。大手のアドバタイザーばかりでなく、誰もが使いこなすことのできるデータにするために、従来メディアとWebが一つの有機体となって、新しい評価法を作っていかなければならないと思います。