政府は「女性が輝く日本」を成長戦略の一つに掲げている。市場や顧客層に新しい価値提案を行いながら、自身も輝き、管理職としてマーケティング部門を率いる女性部長たちは、冷静かつ情熱的に社内外を動かしている。広告マーケィングの仕事の可能性と理想像を語ってもらった。
お客様のメリットを徹底的に考える
―消費者の心理や購買行動の変化をどのように感じていますか。
鶴▼お客様は商品やサービスを購入する際、まずネットやSNSで調べて、自分の価値観に合うものを選ぶようになりました。こうした変化が背景にありますので、広告コミュニケーションにおいても、メーカー目線で一方的なメッセージを伝えるのでなく、クルマを持つことで、ちょっと上質なライフスタイルが実現するイメージをひもときながら伝えるようにしています。
澤村▼かつて保険は営業職員や販売代理店の方から勧められて入るものでしたが、今は複数の保険を比較し、家族と相談してから加入されるケースが増えてきました。各社の保険商品がネットで簡単に比較できるようになった環境変化も大きいです。特に最近では、保険商品についても、AISASで言うところのA(Attention=注意)やI(Interest=関心)を通り越して、まずはS(Search=検索)から入る傾向があり、AやIをコミュニケーションで感じてもらうこと自体ハードルが高くなっています。
佐藤▼ファッションの世界でも、eコマースの普及は大きいと感じています。ネットで服を買うなんて、7年前には考えられませんでした。このような変化をふまえて、お客様に選んでもらえる服をどう提案できるかが重要です。そのためにはまず対象者を知ることが大切です。「20歳代」「30歳代」というのは、属性の分類でありターゲットとは言いません。服を着る人たちがどんな環境で生活しているのか、どのようなライフスタイルなのかを具体的に知らないと、生活者に響く服は作れません。