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成功のカギは現場の実現力にあり

雲に映し出された150メートルを超える映像

ダイキン工業×チームラボ「雲プロジェクト」

雲をスクリーンとして用いて、プロジェクターによって映像を映し出す。ダイキン工業とチームラボによるこの一大プロジェクトは、昨年1月のスタート以来、さまざまな試行錯誤を経て今年9月、本番を迎えた。

01 ~ 03 9月12 日、雲プロジェクトの集大成として、星野リゾート トマムから雲に映像を投影。森から空へと鯉が登る映像(01)と、雲の上で物語が進む「ジャックと豆の木」をモチーフとした映像(02)が映 された。

プロジェクトの過程を公開

9月10日から12日までの3日間、北海道にて「雲プロジェクト」は本番を迎えた。舞台となったのは、夏場には多くの観光客が雲を目当てに訪れる北海道中部トマムの、星野リゾートトマム。4台もの巨大なプロジェクターが持ち込まれ、照射に条件のいい雲が現れるのを待った。

総合空調メーカーであるダイキン工業と、デジタルコンテンツを手がけるチームラボによる雲プロジェクトがスタートしたのは昨年1月。発端は、「人が1日20キログラムも口にしている空気に対して、多くの人に関心を持ってもらいたい」というダイキンの想い。同社の温度や湿度をコントロールする技術を用いて、人々の関心を集める映像をつくりたいと考えた。

タッグを組んだチームラボが提案したのは、ただ印象的な映像をつくるのではなく、その制作プロセス自体を楽しめるものにすることで、長期にわたって注目を集め、話題化するということ。「空気のプロであるダイキンの技術力をアイコン的に象徴する雲を用いて、『そこにきれいな映像をプロジェクションで投影したら楽しいよね』という発想でプロジェクトはスタートしました。ただ、実現へ向けて検証すべきことはたくさんありました」とチームラボの工藤岳さんは話す。

人工的に雲を生成し実験

まず検証を開始したのは、そもそも雲に映像を映すことが可能かどうか。そして可能だとすると、いかにして投影すればいいのか。当初は専門家から「雲は極めて密度が低いため、映像を映すことは不可能」とも言われた。ダイキン工業は実験のために独自に雲生成装置を開発し、どのような条件ならば映像を映すことができるか検証。その結果、適度な厚さの雲に明るい色合いの映像を投影すれば、映すことは可能だとわかった。

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