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マーケティングと企業変革

マーケティングの「市場創造機能」を変革期の企業で活かすには

鳥山正博氏(立命館大学ビジネススクール)

多くの企業において、従来のビジネスモデルや商材の枠を超えた活動が日々行われている現在。このような時代に、マーケティングはどのような役割を果たすことができるのか。また、現代のマーケターに必要な視座とは。立命館大学ビジネススクールの鳥山正博教授が解説する。

立命館大学ビジネススクール
教授
鳥山正博氏

1983年国際基督教大学卒業、1988年ノースウェスタン大学ケロッグ校MBA。工学博士(東京工業大学)。1983年より2011年まで野村総合研究所にて経営コンサルティングに従事。テクノロジーベースのマーケティングイノベーションと新マーケティングリサーチインフラの構築が関心領域。マーケティングリサーチ・メディア・小売領域においてビジネスモデル特許出願多数。

デジタル化が進む現在 マーケティングは全員のものに

最初に私がお伝えしたいのは、マーケティングはいまや、企業の大小や形態、職種にかかわらず、すべてのビジネスパーソンに必要な知識であるということです。

以前は、BtoCのビジネスを行う大企業の、宣伝、商品企画、市場調査等にかかわる人のみに必要な知識だと考えられることも多かったのですが、デジタル化の進行により、マーケティングが必要とされる場が格段に増えました。例えばBtoBの現場では、ひと昔前は商品やサービスを買ってもらうには営業担当がとにかくアポイントを取り、提案するという動きがほとんどでした。

しかし、現在では潜在顧客データやアクセス履歴データが存在し管理できるようになったことで、まずマーケティング戦略を立て、そこからインサイドセールス、フィールドセールスへと引き継がれて実行フェーズに移っていくという新しい流れが主流になりつつあります。

また、デジタル広告やSNSが普及したことで、従来は大企業が多額の費用をかけてテレビCMを出稿するといった手法に限られていた広告を中小企業や個人で使えるようになりました。それによってマーケティング・コミュニケーションのノウハウがより多くの人に求められるようになっています。

このように見ていくと、物事が変革するタイミングにはマーケティングの力が必要とされるとも考えられるでしょう。物も情報も溢れている現代において、企業では様々な部門で日々変化や挑戦が繰り返されています。だからこそ、あらゆる人がマーケティング的な発想を持つことが求められるのです。

あの経営者はマーケターだった?新規事業に必要な「構想する力」

経営者の中にも、マーケティング的な思考により、企業を成長へと導いた方々が多くいます。

例を挙げると、アイリスオーヤマの2代目社長であり、現・代表取締役会長である大山健太郎さんは、顧客の潜在ニーズを顕在化させ、「需要そのものを創り出す」という考えにより、世の中に求められている画期的な商品の開発や、メーカー機能と問屋機能を併せ持った「メーカーベンダー」といった業態により新たなビジネスモデルを確立しました。

また、星野リゾート代表の...

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