東海エリアを中心に、ガスなどのエネルギー事業を展開する東邦ガス。同社では2020年から、日々のくらしを豊かにする、様々なサービスを提供するプラットフォーム「ASMITAS」の提供を行っている。同社が新規事業を開始した背景と地域への思いについて、事業開発を担当する近藤由三子氏に聞いた。
デジタルの発展にガス自由化 変化に対応すべく事業開発を推進
東邦ガスは、くらしを豊かにするサービスを提供するライフサービスプラットフォーム「ASMITAS(アスミタス)」を2020年3月から提供している。
「ASMITAS」は、都市ガス事業を基幹事業とする同社にとって、エネルギー以外のサービスを取り揃える初めてのECサイト。家事代行サービス、見守りカメラサービス、宅配水サービスといった、生活に関わる多様なサービスを利用でき、「ASMITAS」を通してサービスを利用することでポイントが貯まり、貯まったポイントは「ASMITAS」内での支払いに使用することができるという仕組みだ。
同社が従来のビジネスモデルとは大きく異なる「ASMITAS」を開始した狙いについて、事業開発部に所属する近藤由三子氏は、従来築けていなかった顧客とのデジタル上の接点を構築することが大きな目的であると話す。
「当社ではガス事業により、リアルの顧客接点はあるものの、スマホの普及に伴うライフスタイルの変化により、リアル接点だけでは顧客を十分に理解し切れていないという課題がありました。お客さまに求められるサービスの提供には、お客さまについて深く知る必要がある、そのためにはデジタル接点の構築が必要との思いで『ASMITAS』はスタートしました」と話す。
また、2017年4月に「ガス小売全面自由化」が実施され、ユーザーが自由にガス会社を選択できるようになるという、ガス業界における大きな変化もあり、同社では主力であるガス事業のほかに、新たな柱となる事業を育てていかなければならないという意識も生まれていた。
東邦ガスグループの「中期経営計画2022-2025」では、「コア事業から戦略事業へ経営資源をシフトし、新たな成長に向けた道筋を確立する」ことが目指す姿の実現に向けた第1ステップとして掲げられており、取り組む4つのテーマのひとつには「多様な価値の創造」が挙げられている。「ASMITAS」は、この「多様な価値の創造」に寄与する事業と考えられている。
ほかにも、東海三県(愛知・岐阜・三重)を供給エリアとするガス事業に対し、「ASMITAS」は全国のユーザーと接点を持てるという点で、新規エリア・新規顧客開拓に期待が寄せられていると...