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マーケティングと企業変革

あえてミツカンの資産に頼らない決断 パーパス起点のブランド「ZENB」

長岡雅彦氏(ZENB JAPAN)

ミツカンから生まれ、サステナブルな社会の実現を目指して新たな市場を創造する企業「ZENB JAPAN(ゼンブ ジャパン)」。新規事業の立ち上げ時にマーケターが果たすべき役割について、ZENB事業 マネージャーの長岡雅彦氏が考えを話す。

資産に頼らないことで生まれた パーパス起点のブランド「ZENB」

Mizkan(ミツカン)は創業215年に向け、2018年に10年先の未来に向けた「未来ビジョン宣言」を発表。「おいしさと健康の一致」と「人と社会と地球の健康」を未来に向けた約束として公開した。

その後、2019年に同社は、植物を可能な限りまるごと使った食により、未来に向けたウェルビーイングな食生活を提案するブランド「ZENB」を立ち上げ、新会社としてZENB JAPANを設立した。

設立までの経緯について、同社でZENB事業のマネージャーを務める長岡雅彦氏は、「『未来ビジョン宣言』を発表する2年ほど前から、ミツカン社内では、10年~20年後を見据えて世の中にどのように貢献していくべきか?という議論をしていました。また、それと並行して2017年頃から、企業として先々の成長につながる新ブランドを立ち上げる話も進んでいました。この2つが重なったことで『未来ビジョン宣言』の象徴ともいえるブランドとして『ZENB』が誕生しました」と話す。

「ZENB」ブランドの立ち上げにあたり、同社ではミツカンの強みを活かすことにこだわるのではなく、「人と社会と地球の健康に貢献する」というパーパスを最上位概念とし、ゼロベースで出発した。

パーパスを実現するには、どのような手法をとるのがよいのかを考えた結果、顧客と直接つながることで丁寧に思いを伝えながらブランドを育てていける、D2Cの形を選択したのだという。

「素材の調達から生産、販売網、コミュニケーションに至るまで、ミツカンで築いたつながりから離れた場所で、いちからブランドをつくることにしました。もちろん、非効率になった部分もありますが、結果的には『ミツカンの強み』を活かすことにこだわらなかったからこそ、まったく新しいブランドを確立できたのではないかと思います」と長岡氏。

とはいえ、立ち上げ当初は苦労の連続だったという。長岡氏は、「2019年3月の発売当初は厳しい状況が続きました。それでも、ブランドの考え方をしっかりと伝えようと、共感してくれるシェフとコラボしたり、食体験イベントを開催したりと地道な活動により共感者を募っていきました」と...

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あえてミツカンの資産に頼らない決断 パーパス起点のブランド「ZENB」(この記事です)
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