SASや運用型CMサービスにより、自社のターゲットに、より効率的にテレビCMを届ける手法が確立されつつある。しかし、ターゲット最適化のメディア戦略を取り入れると、その分、宣伝部門の仕事の工数が増えるケースもあり、導入すべきか否か悩んでいる企業の声も聞く。この課題を解決すべく、ビデオリサーチが実施した分析で新たな知見が発見された。ビデオリサーチ 企画推進ユニットの吉田正寛氏が解説する。
「出現率」と「逸脱度」に相関 運用型CMの活況化を目指す
ターゲット含有率をはじめ、各種テレビの視聴者属性データを広告主企業が活用できる状況が進んでいる。加えて、一部の放送局がCM枠を指定して15秒1本から購入できるSAS(Smart Ad Sales)も提供し始めたことで、マス向けだけでなくターゲット最適を狙ったバイイングを行う企業も出てきている。「運用型テレビCM」を謳うサービスが登場しているのも、この流れの一環だ。
運用型テレビCMのメリットのひとつが、狙いたいターゲットにあわせてプランニングがしやすい点。ビデオリサーチの吉田正寛氏は、CM枠の購入を検討する際、「個人全体」の視聴実績だけではなく、ブランドや商品の「ターゲット」にどれだけ見られたかも重視すべきであり、「ターゲット最適化」への予算を確保することで、テレビCMの価値はより高まるとの考えを話す。
「しかし、クライアント企業から『ターゲット最適のバイイングにテレビCM予算の内、いくらを割けばよいかわからない』ため、ターゲットを最適化する運用型サービスの利用実施に至れないという声をよく聞きました。そこで、当社ではこの疑問の解決に向け、『商品サービスカテゴリごとの利用者の出現率』と『逸脱度(個人全体との差)』の関係を分析することにしました」。
調査・分析の結果、【図】のように、出現率と逸脱度には吉田氏が想定した以上の相関が見られた。
「例えば出現率10%のターゲットを狙う場合、CM予算の25%はターゲット最適に予算を割くとよいと考えられます。出現率が80%を超えるようなターゲットの場合は、予算配分は10%以下、といった見方です。各ブランド・商品に応じた、より精微な情報を知る場合は、当社で個別に分析することも可能ですが、まずはこの指標が、ターゲットの最適化に踏み切るか否かの検討材料になるのではないかと思います」。
分析により得られた指標は現在、特許を出願中。この指標によって、データによる効果的なテレビCMの活用が進むことで、ビデオリサーチとしてテレビCM市場の活況化に貢献したいと吉田氏は語った。
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