CTV(コネクテッドTV)の普及により、“テレビを見る”という言葉が表す意味合いも多様化しつつある。日本の動画視聴は、この先どのような変貌を遂げるのか。欧米の動画視聴環境変化とそれに伴う生活者の視聴動向変化をもとに、園田公一氏が解説する。
急速に普及するCTV 海外での動画視聴方法の今
すでに、日本でもスマートフォンやタブレットを使っての動画視聴が増えており、「テレビ離れが進んでいる」と今さらのように言われています。これは「テレビ放送を見る人が減っている」、「大画面のテレビ端末を使う人が減った」という2つの解釈ができますが、実態としては、テレビ放送を視聴する人が減りつつあり、インターネットを使ったYouTubeやNetflix、Disney+などの動画視聴が増えて、動画を表示する画面装置としての「テレビ端末」から人は離れておらず、逆に視聴時間が増えているというのが現実のようです。
このような視聴方法が普及する中で海外、特に欧米では、この数年でCTV(コネクテッドTV)と呼ばれるインターネットに接続して利用する視聴の形態が急速に普及しています。旧来のテレビは地上波、ケーブルテレビ、衛星放送と、アンテナやケーブル回線と放送専用回線をテレビにあるチューナーにつないでテレビ放送を視聴する専用装置でした。
しかし、CTVはインターネットに接続することで多様な動画の視聴が可能になる表示装置ということがポイントです。既存のテレビにSTB(セットトップボックス)を接続しCTV化する形態とテレビ端末一体型があり、STBを接続する場合、海外ではRoku、AmazonFireTVなど複数の製品がありますが、日本国内ではAmazonFireTVが主流のようです。
CTVが普及するということは、スマホやタブレットの小さな画面だけでなく、大きな“テレビ画面”で動画を視聴する行為は、今までと変わらず存在していることを示しており、海外では、CTVが一般化しつつあります。
「受動」と「能動」の両視聴がインターネット上で可能に
一方で、サービス側に目を向けると、インターネット上の主流なサービスといえばVODですが、これは視聴者が見たい作品を見つける(探す)という能動的なメディアと言われています。VODは、Netflixに代表されるSVOD(定額制有料視聴)で大きく普及し、さらにAVOD(広告付きVOD)などの形態が現れ、海外のサービスの多くは複数の形態の組み合わせになっています【図】。
さらに、この数年で、FAST...