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顧客の多様化とターゲティング

クリエイティブにおけるターゲティング粒度、どこまで追求すべきか

相沢理人氏(博報堂)

価値観多様化時代。広告クリエイティブにも、個々のコミュニティに寄り添うようなコンテンツ開発が必要とされている。このような時代における理想形のひとつとして、「一人ひとりにあったクリエイティブ」が論点になることも多い。とはいえ、事業会社の担当者はどの程度の粒度でターゲティングすればよいのか。博報堂の相沢理人氏が解説する。

価値観が多様化した時代におけるクリエイティブ開発の現状

メディアやデバイスの急激な発展に伴って、私たちの日々の情報収集活動はますます盛んになりました。それと比例するように、様々な刺激を通じて一人ひとりの価値観も多様な広がりを生み出しています。さらにはそうした価値観における熱量や繋がりというものが、外部からより見えやすくなった時代とも言えます。

今、誰が、どんなことに興味をもっていて、何を買おうとしているのか。さらに言えばどんな暮らしを望み、どんな自分でありたいのか。そうした生活者一人ひとりの関心や欲求に寄り添ってメッセージを発信することで、商品やサービスへのアテンションを高める手法もすっかり一般化していますが、一方でメディアの「効果と効率」のせめぎ合いが生まれ、クリエイティブ開発における工数も格段に膨れ上がった印象があります。

マルチターゲティング×マルチクリエイティブで個の価値観に最適化する。それは間違いなく“正論”ですが、どこまで追求すべきなのかという新たな悩みも生まれてきています。

「一人ひとり」へ向けたクリエイティブ開発の理想形とは?

そんな中でまず、「一人ひとり」へ向けたコンテンツやクリエイティブの理想形とは何なのか?と考えたとき、理想論で言えば「個のコンテクスト」と「場のコンテクスト」の両方をきちんと捉えることだと思います。

例えばサッカーが好きな人へアプローチするにしても、サッカーというコンテンツを通じて求められる楽しみ方や情報の質は、メディアがTwitter、YouTubeと変われば当然違います。つまり多様化する価値観にアジャストするだけでなく、多様化するタッチポイントそれぞれの文脈も取り込まなければ、受け手のコンディションを十分に捉えることはできません。

そうなるとさらに「効果と効率」の問題に直面してしまうわけですが、それだけではありません。What to say(なにを伝えるか)とHow to say(どう伝えるか)のバリエーションが...

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