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顧客の多様化とターゲティング

「勘と経験」から脱却したシック・ジャパンのターゲティング戦略

伊藤真人氏(シック・ジャパン)

各種ウェットシェービング製品の他、近年ではボディーグルーミング製品を展開するシック・ジャパン。男性向けのプロモーションではすべての顧客に向けて単一のメッセージのコミュニケーションを行ってきたが、近年は志向を変えた施策も実施している。その背景にある「顧客理解」に注力した戦略について、Senior Marketing Manager, Men'sの伊藤真人氏が語る。

2018年 過去
・すべての年代に単一のコミュニケーションを発信
・顧客データではなく、勘と経験に頼るマーケティング活動
・それぞれの商品に、同じマーケティングメッセージを使用

⬇︎

2022年 現在
・顧客データの収集・分析を実施、市場のニーズをしっかりと捉える
・市場のニーズに合わせて、既存の商品をあてはめる
・既存の価値で顧客の課題解決が難しい場合は、新商品を開発

日本上陸60年 ターゲットの拡大を実施

業種・業態問わず、コモディティ化が著しい昨今、その中で企業や商品を選んでもらうためのひとつの施策として、ターゲット転換や、ポジショニングのシフト、対象顧客となるターゲット市場の拡大がある。

男女問わずグルーミング製品を展開するシック・ジャパンも、幅広い年齢層へのアプローチを開始し、成功している企業のひとつだ。

シックが展開するカミソリブランドの「Schick」は、昨年に誕生100周年、日本上陸60周年を迎え、生活者から長く愛されてきた。同社の代表的なブランドである「Hydro」などの男性向け髭剃り分野では、従来、40~50代の中高年を中心にすべての世代に向けて単一のマーケティングアプローチ施策を展開してきたが、昨今は対象顧客をセグメントし、20~30代の若年層へも積極的にコミュニケーションを行うなど、新たな市場への拡大を進めてきている。

勘と経験に頼るマーケティング 市場のニーズを捉えていなかった

このような取り組みの背景にあるのは、「顧客の見直し」だとSenior Marketing Managerの伊藤真人氏は話す。伊藤氏は2018年にシック・ジャパンに中途入社。メンズ製品のマーケティングに従事している。

「入社した当時は、詳細な顧客データが社内に存在していない状況でした。メンズグルーミング製品のメインターゲットは“40~50代の中高年男性”だという社内認識はとれていたのですが、具体的にどのようなお客さまが、どのような商品を購入しているのか、お客さまが何を求めているのかということは把握できていない状態...

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