生活者の価値観の多様化により、顧客のインサイトを捉えることが難しいと言われている。そんな中、エクシングは今年2月、「JOYSOUND池袋西口公園前店」でのみ新たな施策を開始した。最大公約数的なサービスではなく、1to1に近いサービスの場合はどのようなマーケティング戦略が必要なのか。経営戦略部の春日井氏と水口氏が解説する。
エクシング「貸出ミシンセット施策」
市場領域
カラオケ配信機器/カラオケルーム など
ターゲット(対象顧客)
コスプレイヤー/服飾関係の学生/主婦/日常的に裁縫を行う生活者
ターゲティングの肝
利用者の声に基づくアイデアと仮説設計
コミュニケーション手法
・店舗でのチラシ掲出
・SNS
・リリース
目的は歌うだけではない 変化するカラオケの利用シーン
カラオケ配信機器ブランドの「JOYSOUND」やカラオケルーム事業を展開するエクシング。コロナ禍で厳しい状況に立たされたカラオケ事業だが、それ以前からカラオケの新しい楽しみ方や利用方法を提案すべく、多くのサービスをローンチしてきた。最近では、カラオケルームで映画やアニメ、お笑いなどの映像視聴が楽しめる「みるハコ」を展開。サービスごとに対象顧客が異なることもあり、ターゲットは従来のカラオケ利用者にとどまらず、ビジネスパーソンやアニメ・アイドル好き、いわゆる“オタク”の生活者など多岐にわたっている。
「カラオケでミシン」着目したのはコスプレイヤー
そんな中、エクシングが2022年2月から開始したのは「ミシンの貸し出し」。カラオケルームの料金に1000円をプラスすることで、ミシンが利用できるというものだ。サービスの展開は、エクシングが運営する「JOYSOUND池袋西口公園前店」でのみ開始した。
なぜ、エクシングはカラオケでの「ミシンの利用」に着目したのか。企画の発案者である経営戦略部の水口裕香氏と、上長である春日井文敬氏はサービス開発の背景について、ミシンの利用者としてのコスプレイヤーの存在が大きかったと話す。
「コロナ禍でカラオケルーム自体が休業を余儀なくされ、大勢で歌うことができなくなりました。そんな中、カラオケ以外の来店動機を社内全体で模索してきましたが、ミシンに着目する切り口のひとつとして考えたのが『コスプレイヤー』の存在でした」(春日井氏、水口氏)。
メインターゲットとしてコスプレイヤーに着目した理由は、ミシンの利用頻度にあったと水口氏。主婦の利用イメージが強いミシンだが...