「スモールマス」提唱の花王に聞くターゲティングの極意
花王が2015年に「スモールマス」を提唱してから今まで、同社では多くのスモールマス向けブランドが発売されてきた。価値観が多様化する現代、小さくとも一定のニーズボリュームがある市場を捉えるにはどうすればよいのか。「エッセンシャルflat」の事例をもとに、同社のヘアケア事業部シニアマーケターの小林達郎氏に聞いた。
ネスレの世界的飲料ブランドの「ミロ」。発売当初に使用していた「強い子のミロ」のキャッチフレーズに見られる通り、国内においても子どもの飲用を想定したコミュニケーションを行ってきた。しかし、昨今の「ミロ」は成人女性に向けた新商品開発やPRイベントを実施。その背景にはどのようなマーケティング戦略があるのか。担当の中濱航太氏が解説する。
飲料/健康食品
・7~12歳の成長期の子ども
・健康、とりわけ鉄不足に悩む成人女性
ひとりの生活者によるバズツイートに着目したこと
(メインターゲットの子どもだけではなく、成人女性にも注目)
・オフラインでのマーケティングPR施策の実施
・特設サイトで“鉄”について言及
・大人向け新商品の開発・発売
ネスレの世界的飲料ブランド「ミロ」。幼い頃に飲んでいたという経験がある人も多いのではないだろうか。
「ミロ」は1934年、オーストラリアで誕生。当時は大恐慌時代ということもあり、貧しい食事と低栄養という課題に苦しんでいた子どもたちに向けて開発された。日本では1973年に発売。長く愛されているロングセラーブランドだ。
日本での発売当初のキャッチフレーズは「強い子のミロ」。7~12歳の子どもをメインターゲットにしていたため、利用シーンとしては、親や保護者が子どもの健康や栄養を気遣って購入するのが一般的。「成長期の子どものための飲み物」としてコミュニケーションを行っていた。
子ども向け飲料としてマーケティング・コミュニケーションを行っていた「ミロ」だが、2020年7月に「鉄不足の大人の女性にミロがよい」という一般のユーザーによるツイートが拡散したことをきっかけに、話題が沸騰し、一時店頭から品切れになるほどにまで売上を伸ばした。
これまで「成人女性の鉄不足」にフォーカスしたコミュニケーションをしたことがなかったと話すのは、同社の中濱航太氏。さまざまな栄養素を手軽に摂ることができる“バランス栄養”という訴求を優先し、鉄をはじめとした特定の栄養素に絞った訴求はしてこなかったと話す。
「子どもの飲み物という印象が強い『ミロ』は、来年で日本発売50年を迎えます。当時飲用していた子どもが今は親世代になっていることもあり、『親子で飲む』ことも販売促進の現場では訴求ポイントのひとつです。主成分はカルシウム...