大きく伸長している動画広告市場。コロナ禍でさらにその傾向が加速している。ここでは、ビデオリサーチが動画広告の出稿が増える背景を数値化。生活者の動画視聴時間や視聴態度をデータで読み解き、今後の動画広告市場の近未来と成長課題を考える。
動画リーチは4年で3倍以上 コロナの2年が影響
動画コンテンツは生活者にとって、より身近なものになってきました。本記事では、ビデオリサーチの生活者データベースACR/ex(エーシーアール・エクス)を使って、生活者の動画とのかかわり方の変化や広告の印象を数値化しました。その結果に沿って、日本の動画広告市場の今と近未来を読み解いていきます。
まず、オンライン動画接触実態を、リーチ(ある1週間平均して1日15分以上接触)と時間量(視聴者あたりの平均視聴時間量)で2017年から2021年の変化を確認しました(図表1)。リーチは2017年から2021年で3倍以上伸びており、時間量も同様に2017年から2021年で30分以上伸長しています。
両指標とも特に大きく伸長したのが2019年と2020年の間、つまりコロナ禍のタイミングです。このことから、動画視聴の浸透はコロナ禍の影響を受けて大きく加速したことが示されていると考えられます。
また、広告の観点では接触時の効果である態度変容も関心事です。ここでも変化がみられました。
筆者が行う態度変容のメディア間比較の研究では、共通して「広告の印象」という指標を用いています。インターネット動画広告(スマホ)の「広告の印象」を時系列で比較したところ(図表2)、ここ4年間で各ファネルともに伸長していることがわかりました。やはり動画は情報量の多さが魅力であることもあり、「商品に対するイメージが広がる」などの意見が多く見られるようです。つまり、動画広告は、接触機会が増えただけでなく、生活者への態度変容における影響力も増していることがわかります。
動画視聴時間の伸長すべてが広告接触に寄与するわけではない
生活者に...