認知拡大や新規顧客の獲得施策として活用されることの多い動画広告。コンバージョンや具体的な行動に結びつけるには難しいイメージがある。では、態度変容を動画広告で促すためには、広告主企業にどのような知見が求められるのか。リクルートの会津祥平氏に聞いた。
ユーザー理解の解像度を上げ、施策の目的を明確化する
外食や美容の情報を掲載するホットペッパーブランドをはじめ、ブライダル情報の『ゼクシィ』、就職支援サービスなど多岐にわたる事業を展開しているリクルート。同社の広告は、耳に残るコピーを使用していたり、ユニークな表現のものが多かったりするイメージがあるという人も多いのではないだろうか。
同社のホットペッパービューティーは今年6月、「YouTube Works Award」のPerformance for Action部門で部門賞を受賞した。同部門は、YouTube動画広告で視聴者の行動促進に成功し、ビジネス成果を得たキャンペーンを表彰するものだ。
今回、受賞した作品は『【ホットペッパービューティー】〜ナダルとオカンの押し問答〜』シリーズ。「ホットペッパービューティーは女性しか利用できない」、「予約できるのは美容室だけでリラクゼーションサロンはできない」という誤認を解消し、男性の利用を促進する目的で企画された。施策の結果、新規のサロン予約が増加したという。
動画広告で態度変容を促すためには、広告主企業にどのような知見が必要なのだろうか。ホットペッパービューティーのブランド戦略・施策を担い、リクルート横断のブランドマーケ機能進化リードも担っている会津祥平氏は、「ターゲットの心理・知覚・行動やそれらに影響を与える要因を深堀りできているか」と「『この広告は好き』と思わせる要素を企画・演出で設計できているか」の2つの指標が大切だと話す。
「ホットペッパービューティーのユーザーは女性に比べ男性が少ないのですが、要因を深掘ると、Web・アプリのUIや過去の広告コミュニケーションの印象から『女性が利用するもの』と誤認している男性が多いとわかりました。当社にとってこの事実は事業成長上の障壁になるため、中長期でプロダクト進化は図りつつも広告コミュニケーションで解決したい課題と考えました。このように、ターゲットの解像度を高めた上で目的を明確化し、クリエイティブの与件に落とし込むことが重要と考えています」(会津氏)。