食に合わせた醤油を提案する。全国各地の醤油蔵の多様な銘柄それぞれに、その醤油に合う料理のパッケージを付け、自身の「好物」から醤油を選ぶ新たな提案をする「大好物醤油」。職人醤油 代表の高橋万太郎氏と本プロジェクトにかかわる博報堂のメンバーに、店頭を基点に話題を広げる同ブランドの戦略を聞いた。
雑貨屋に醤油!?食に興味がない層に届ける工夫
小泉:「大好物醤油」は、醤油の新たな選び方を提案するプロジェクト。24種類の料理イラストをパッケージに表示しており、「餃子」「焼き魚」など“大好物”に合わせて醤油を選べます。本企画は私が職人醤油の代表、高橋さんに自主提案をしたことからスタート。日本に1000以上ある醤油メーカーの多様性を生活者に伝え、人と醤油の出会いのきっかけをつくれないかと考えていました。
高橋:小泉さんには最初、20案ほどの提案をいただきました。どれも素晴らしかったのですが、もう1歩、何かが噛み合うとよりよくなると感じ、「一緒に醤油蔵を回りませんか?」と提案したのです。
小泉:当初は、一般の人に醤油の銘柄を伝えてもわからないと考え、銘柄を完全に外す提案をしていました。しかし醤油蔵を訪れ、職人さんや醤油の個性を知り「個性である銘柄を取ってはいけない」と実感。銘柄の上からスリーブ式で大好物をプリントしたパッケージを被せ、外すこともできる現在の形を採用し、購入のきっかけは“大好物”でも、リピート購入時は銘柄の指名買いが起こるよう案をブラッシュアップしました。
──ターゲットにはどのような人を想定していましたか?
高橋:既存の職人醤油のお客さまは、食に興味がある層の、さらにその中でも醤油に興味がある層でした。しかし「大好物醤油」では、「食に興味がない」層に...