私たちの身の回りには多くのランキングが存在し、企業やブランドに関するものも例外ではない。日本人はランキング好きとも言われるが、ランキングとは第三者がつくった評価軸。ビジネスパーソンはこの他者がつくった指標をどの程度気にする必要があるのだろうか。コーチングのプロとして自分の軸で生きる大切さを発信している大仲千華氏が解説する。
Point
☑都道府県魅力度ランキングから見る、価値観の変化を示すサイン
☑変化の時代に必要とされる、価値観のシフトへの“サポート”
なぜ日本人はランキングを気にしすぎてしまうのか?
人気企業ランキング、偏差値、芸能人のランキング⋯。日本人ほどランキングに力を与えてしまっている国はないように思います。海外にも、働きやすい企業ランキングといったものはありますが、その人の能力や強みを生かし伸ばせる就職先を見つけるのがよい就職という考え方が根本にあるので、4月一斉入社を前提とした誰にでも当てはまる人気企業ランキングというものは存在しません。
日本人がランキングに依存してしまう理由。それは、あるひとつの「理想」や「正解」が存在していて、それこそが唯一の正しい答えだと無意識下で考えているからです。
ランキングがあれば自分で考えて悩まずに済みますし、もっともらしい理由によって自分を納得させることもできます。ある種の「秩序」というか、安心感を覚えることもあるかもしれません。しかし、そうした指標自体が妥当であるか、なにより、自分にとって有益かどうかは別問題です。自分の頭を使って、自分は何を大切にしたいのかを考えずに、そのような重要な決定さえも他人の評価に委ねてしまう危険性があります。
また、あるひとつの指標に従う限り、その指標に沿った上下関係や「勝者」と「敗者」が生まれます。もったいないのは、その評価軸に添わない強みや独自性、魅力が十分に評価されないこと。ある特定の指標や評価軸に価値を見出し続ける限り、その構造は続きます。そこから解放されるためには、他者によってつくられた指標を追うのではなく、自分はこれでいい、という独自の軸を持つことです。拙著『自分の軸で生きる練習』では、「自分の軸」と表現していますが、これは個人だけでなく、組織や企業にも当てはまります。
第三者による指標を活用するメリットとデメリット
近年、ブランド総合研究所の「都道府県魅力度ランキング」が話題となっています。2020年版調査で最下位の栃木県知事は結果に疑問を呈し、調査会社に申し入れを行いました。他方、本調査において全国で最大の...