かつて日本企業のマーケティング戦略においては、マス広告が大きな役割を果たしてきました。しかし市場環境の変化を受けて、マス広告に留まらない「広義のマーケティングが必要である」という考えが浸透。テクノロジーの進化も手伝い、マーケティングのフィールドは広範化、複雑化の一途をたどってきました。
しかし昨今、広告の領域においても、「アドエクスペリエンス」といったテーマが浮上しています。マーケティング戦略の全体設計も重要ですが、その効果を最大化するのは、魅力的な「広告体験」。変わる、市場環境の中で、いま求められる広告の役割を大手企業の宣伝部長の方々へのアンケート結果から考えます。
宣伝部門の今年度の戦略・方針や、注力したい施策・領域などについて聞いたアンケートへの回答を一覧で紹介する。回答項目は、【1】今年度の広告宣伝の戦略・方針、【2】部門人数・平均所属年数、【3】部門の管轄業務、【4】今年度、注力したい施策・領域、【5】注目の話題・手法、【6】いま不足していると思うこと、強化が必要だと思うこと。
1 赤城乳業

マーケティング部
部長
萩原 史雄(はぎわら・ふみお)
1995年入社。名古屋、北関東、広域(CVS・GMS)担当営業を経て、2004年より現職。
今年度の広告宣伝の戦略・方針
「アイス市場の創造」
・基本に立ち返り、アイス市場創造につながる新たなネタを探し出し、徹底的に活用する。
・イベント、コンテンツから新規顧客拡大、新たな食シーン拡大を狙う。
・地域への深耕、小規模イベントなど小さな企画の積み重ねから市場を拡大する。
部門人数と平均所属年数 | |
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部門人数 | 5人 |
平均所属年数 | 約5年 |
今年度、注力したい施策・領域
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● 営業(販売・店頭)部門との連携
● 商品開発部門(事業部門)との連携
注目の話題・手法
● 顧客体験(CX)
● カスタマージャーニー
● データ活用
いま不足してると思うこと、強化が必要だと思うこと
少人数部署のため、働き方改革への対応、難しい問題です。
2 アサヒビール

マーケティング本部
宣伝部 宣伝部長
望月 省二(もちずき・せいじ)
1995年入社。1996年大阪支社営業担当。2002年酒類本部企画部、2005年宣伝部、2009年宣伝部制作グループリーダー、2014年メディアグループリーダー、2019年4月より現職。
今年度の広告宣伝の戦略・方針
①お客さまのインサイトを追求したクリエイティブ開発。
②メディア展開の最適化(マス×デジタル)により、『お客さまの心を動かす広告展開』を実現し、ファン、ユーザーの獲得・拡大につなげる。
部門人数と平均所属年数 | |
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部門人数 | 13人 |
平均所属年数 | 約8年 |
今年度、注力したい施策・領域
● 商品の売上を宣伝施策で高めること
● 継続的な購買の促進(リテンション、リピーター獲得施策)、既存顧客への対応
● クリエイティブ力の向上
注目の話題・手法
● 顧客体験(CX)
● カスタマージャーニー
● 動画の活用
いま不足してると思うこと、強化が必要だと思うこと
お客さまのインサイトを追求したコミュニケーションデザイン力(クリエイティブ×メディア)。
3 アサヒ飲料

マーケティング本部
宣伝部
部長
前川 哲(まえかわ・さとる)
1992年入社。2003年よりマーケティング部門、2016年マーケティング企画部長、2018年3月より現職。
今年度の広告宣伝の戦略・方針
環境変化、お客さまのニーズ変化に対応するために、新たな取り組みへのトライ&エラーと継続的な人材育成を行っていく。
部門人数と平均所属年数 | |
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部門人数 | 30人 |
平均所属年数 | 約5年 |
今年度、注力したい施策・領域
● 企業のブランド価値を向上させること
● データの活用
● 部門内の人材育成
注目の話題・手法
● アドフラウド、ブランド棄損などのデジタル広告の問題への対応
● データ活用
● ミッドファネル
いま不足してると思うこと、強化が必要だと思うこと
継続的な人材育成、スキル向上が必要。
4 アットホーム

マーケティングコミュニケーション部
部長
尾身 正道(おみ・まさみち)
1991年入社、1998年城南営業所長、2008年神奈川営業部部長、2016年マーケティングコミュニケーション部部長。
今年度の広告宣伝の戦略・方針
時代の変化に適用した人材育成と組織づくりへ …