日清フーズは、2月下旬に発売した「日清 水溶きいらずのとろみ上手」・「日清 いろいろ作れる 味付け用ミックス」のプロモーションでレシピ動画を活用した。具体的なシチュエーションの中で商品の特長と使い方を伝える狙いだ。その施策と効果について、日清フーズの冨井貴弘氏、水田成保氏、「DELISH KITCHEN」マーケティングソリューションズマネージャーの三ツ中菜津美氏に聞いた。
料理の困りごとを解決する新商品 具体的なシーンで魅力を伝えたい
冨井:2月下旬に発売したボトルタイプの調理用ミックス「日清 水溶きいらずのとろみ上手」・「日清 いろいろ作れる 味付け用ミックス」は共に、好きな分だけふりかけて調理に使用することができる商品です。どちらの商品も、生活者の具体的な「料理の困りごと」の声から生まれました。
例えば「水溶きいらずのとろみ上手」は、これまでの片栗粉に対する「粉が舞う」「キッチンが汚れる」「パッケージが縦置きで自立しない」「保存しにくい包装形態」といった声に応え、直接ふり出すだけ&水溶き不要で、とろみをつけられるようになっています。とろみづけや下ごしらえ、味付けなどは、手間がかかるとつい省略してしまいがちですが、そのひと手間で料理の出来栄えが変わるもの。まずは新商品について認知を上げたいと考えました。
水田:もうひとつ必要だと感じていたのは「具体的な使い方」を伝えることです。「日清 いろいろ作れる 味付け用ミックス」は、その名の通りさまざまな料理に応用できるものですが、“いろいろ”と言われてもどう使っていいかわからない、という声がありました。実際、リニューアル前の同商品は、購入者の5割がから揚げにしか使っていなかった。
商品の汎用性の高さを具体的に伝えるにはレシピ動画が良いのではと考え、コンテンツの制作力や拡散力があり、商品のターゲットである30~40代・料理初心者のユーザーを多く抱える「DELISH KITCHEN」さんに動画の制作をご依頼しました。
SNS映え、お弁当、季節感…さまざまな方向性でレシピを開発
三ツ中:料理をする方、主婦の方の課題を解決することを目指している「DELISH KITCHEN」にとって、この2つの商品は、まさに料理時のあるあるの悩みを解決してくれるもの。ユーザーやメディアの特性とも相性がいいと感じました。2月下旬に発売することをふまえ、店舗に配荷されてもっとも手に取りやすくなっている3月後半の2週間を狙って、集中的に露出をしていこうと、配信する動画を4本、特集として掲載する動画を7本制作しました。
冨井:ご提案いただいたレシピを見て驚きました。どれも商品の魅力を生かしつつ、ユーザーの実態に即しながらも、ユニークなものばかりで。
水田:自分たちで考えたものにはない視点がありました。驚きがあって、まさに“拡散したくなるレシピ”です。
世帯収入は減少傾向が続きますが、共働き世帯が増えているからこそ、新しい市場も生まれています。本稿では、特に共働き世帯に注目しながら、その消費の特徴を探ります。
子育て世帯数と家計収支の変化
厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、18歳未満の児童のいる世帯数は減少傾向にあり、1996年から2016年にかけて、1388万世帯から1167万世帯(▲221万世帯)へ、総世帯に占める割合は31.7%から23.4%(▲8.3%pt)へと減り、現在では子育て世帯は全体の4分の1にも満たなくなっています。
親の就業状態も変化しています。1996年には専業主婦世帯が子育て世帯の半数を占めていましたが、2002年に共働き世帯がこれを上回り、2016年では共働き世帯(54.4%)が専業主婦世帯(29.9%)の2倍近くに増えているのです。また、多くはシングルマザーである母のみ有業の世帯(10.1%)も1割を超えて存在感を増しています。
子育て世帯の世帯収入は、足元でアベノミクスによる変動はありますが、2000年以降では親の働き方によらず、おおむね減少傾向にあります(図表1)。この背景には、長らく続いた景気低迷による労働者の雇用の不安定化や賃金減少があります。特に40代前半以下はバブル崩壊後の就職氷河期世代であり、非正規雇用者が増え、正規雇用者でも賃金カーブがフラット化した世代です。
例えば、男性の25〜34歳時点の雇用者に占める非正規雇用の割合は、1961〜70年生まれでは2.9%ですが、1971〜80年生まれでは12.9%、1981〜90年生まれでは16.6%へと大きく上昇しています(総務省「労働力調査」) …