メディア&クリエイティブ 時代に合わせて企業理念の表現は変わる!――CASE1 日立製作所
創業の理念や、世の中への提供価値など、その企業が持つ『DNA』は、時代が変化する中でも普遍なものと言えます。しかし、その伝え方は、消費者の価値観や行動パターン、メディア環境の変化に合わせて変えることが求められます。企業広告におけるメディア選定とクリエイティブの考え方について、企業広告に継続的に力を入れる4社に聞きました。
企業広告の想像を絶する!?効果
テレビ離れが叫ばれる現代でも、「一社提供ミニ番組」にスポンサードする企業は少なくありません。企業の思いや技術力を、商品・サービス訴求を介さず、コンテンツを通じて伝えることに、スポンサー各社はどのような意義を感じているのでしょうか。
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脈々と受け継がれてきた「日本の伝統技術」はもとより、「歴史」や「文化」、そこに込められた「職人の想い」に焦点を当てた伝統文化教養エンターテインメント番組です。自然の恵みを生かし人々の暮らしを支えてきた地域産業や、伝統工芸品に込められた想いを、上質な映像と臨場感のある音声で表現しています。一つのテーマを3週にわたって取り上げ、産業の成り立ちや工芸品の特徴、職人の巧みな技と伝統の継承について紹介しています。
目的は、本番組の提供を通じて過去から未来へと技術を継承することの大切さ、今こそ守るべき日本の資産を多くの視聴者へ発信するとともに、当社住宅事業の拠点となる全国287カ所のモデルハウスで各地の伝統工芸品をインテリアとして取り扱うなど、地域に根差した暮らしの創出と地方創生の一翼を担う文化の継承、和心の醸成に寄与している企業姿勢を視聴者に伝えること。一社提供番組を選んだのは、当社の企業姿勢をダイレクトに視聴者に伝えることができると考えたためです。
創業320余年の住友林業グループは、木材資源を軸とした事業展開によって地域社会の活性化に努めてきました。地方創生、地域活性化の取り組みが本格化し、地域や伝統に根差した工芸品の価値、日本の伝統文化の象徴としての魅力など、そのポテンシャルに改めて注目が集まっている中、当社はすでに全国の住宅展示場で伝統工芸品を外装の一部、内装・インテリアとして使用しているなど、伝統工芸の活用に取り組んできました。今後も地方創生、地域活性化につながる伝統工芸品の活用を積極的に行っていく予定であり、視聴者には日本の伝統工芸の素晴らしさ、守っていくことの大切さ、そして伝統工芸を大切にする当社の企業姿勢を理解していただけることを願っています。
番組コンテンツは、伝統工芸品の産業の成り立ちや工芸品の特徴、職人の巧みな技と伝統の継承について紹介する内容。職人が伝統工芸品をつくる様子を、巧みなカメラワークでその人となりも含めて映像として捉え、臨場感のある音とともにリアルに再現しています。テレビを見た人が、その場にいるような感覚を覚え、受け継がれてきた技とその想いに触れられるような、上質な映像にこだわった番組となっています。
10月にスタートしたばかりなので、具体的な成果はまだわかりませんが、一社提供番組を持つことの社内外における反響や話題性は大きいと感じています。
住友林業 コーポレート・コミュニケーション室 エ広告ブランドチーム GM 松家拓生氏 |
平日の夜、毎日放送している『世界の街道をゆく』は、世界各地の街道を訪れ、その地の歴史や人々の営み、自然の魅力的な表情を、スチールとムービーの両方で紹介する紀行番組です。毎月一つの街道を取り上げており、2009年10月からこれまでに80もの街道を紹介してきました。それまでも、単発の一社提供番組を持つことはありましたが、長期にわたって提供番組を持つのはこれが初めてです。テレビCMや新聞・雑誌広告など、技術を伝える広告はこれまでも展開してきましたが、一社提供番組のように、毎日一定数の方々にメッセージを届けることができる場はなかなかありません。
番組スタートのきっかけは2008年秋 ...