カンヌライオンズ、ワンショーと並ぶ世界三大広告賞の一つ、クリオ賞の2016年の結果が明らかになった。ここでは、ダイレクト、フィルム、ブランデッド・コンテンツ、デジタル/モバイル、プリントの5部門で最高賞のグランド・クリオに輝いた事例を紹介する。

01 ダイレクト部門 グランド
スウェーデンのことなら、スウェーデン人に聞け!
スウェーデン政府観光局「The Swedish Number」

1766年に検閲制度が廃止され、世界で初めて言論の自由を確立したスウェーデン。「The Swedish Number(スウェーデンの電話番号)」は、その250周年を記念し、同国の政府観光局が実施した観光PRキャンペーンだ。
スウェーデンの国の代表番号=「+46-771-793-336」(現在は不通)に電話をかけると、事前に一般公募・登録したスウェーデン大使がランダムに選ばれ、電話口に出る。大使は自国を代表して、気候や風土、日常生活やイベントの情報など、スウェーデンについて何でも自由に語ることができ、電話をかけた人は現地の生の情報を聞くことができた。
スウェーデン大使には、スウェーデン在住のスウェーデン人であれば誰でも登録することができる。専用アプリに自分の電話番号を登録するだけで、事前調査などは一切行われない。さらに、国民の自由な発言を尊重する同国らしく、電話口では何を話すのも自由。国の観光振興施策であるにも関わらず、模範解答がなく、それぞれが思ったことを思ったように答えればいいという大らかさに驚く。
何事も包み隠さず、スウェーデンのリアルな情報を、スウェーデン人が生の声で語ることを通じて、同国のさまざまな魅力を国内外に広く発信することを狙った。
ケースムービーには、薬剤師やウェイター、ファーマー、トラックドライバー、UXデザイナー、フォークダンサーなど、多種多様なバックグラウンドのスウェーデン大使が登場。彼らに寄せられる質問の内容も、オーロラやミートボール、政治、スキー、ハイキング、ノーベル賞など、実にさまざまだ。キャンペーン期間中の253日間で、178の国から12万8392本の電話がかかってきた。
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