顕在顧客層は刈り取れても、需要の掘り起こしが苦手。
あるいは、認知は広げられても、刈り取る仕掛けがない。それがネット広告の弱点だとこれまで言われてきた。しかし、結婚相談所のオーネットは、動画広告を使い、その定説を覆すことに成功した。
「あんたいいかげん婚活は?」などと説教する「おかん」が登場するオーネットの動画広告。愛嬌があり、どこか憎めないキャラクターが魅力。
徹底したターゲティングとクリエイティブの組み合わせ
オーネットは、費用対効果が見合うマーケティングを志向する会社だ。これまで実施してきた検索連動型広告やバナー広告では、高効率なマーケティング手法の追求を重ね、ある程度できることはやりつくしたと感じていた。一方で、動画広告は本格的に使ったことはなかった。ビュー単価が高いわりにコンバージョン率が低いことから、CPA(顧客獲得単価)が見合わないと感じていたためだ。「たとえ動画広告であっても、当社では『認知が取れたからOK』という話にはなりません」、とオーネット マーケティング部 顧客開発グループ マネージャー 岡野玲氏は話す。
そんな同社がこのたび本腰を入れてビデオ広告に踏み切った理由について、岡野氏は「今が最適なタイミングと思ったから」と言う。「動画が注目を集めるなか、多種多様なメニューがリリースされ、細かいターゲティングが可能になり、コンバージョン率の改善が期待できました。静止画よりも、動画のほうが興味喚起の効果が大きいだろうと前から考えていたため、このタイミングでチャレンジしようと思ったのです」。目標は、これまでのネット広告と同程度のCPAの達成である。
中間指標は資料請求、最終的なゴールは入会してもらうこと。ただし、誰にでも資料請求をしてもらえばよいわけではなく、結婚に対して意欲的な人にしてもらわなければ意味がない。そのために行ったのが、ターゲティングとクリエイティブの徹底だ。広告配信するユーザーを属性で細分化し、それぞれのセグメントに対して異なるクリエイティブを当てることにした。
「独身の子どもを案じる“おかん”というキャラクターがいるのですが、かわいらしい外見とは裏腹に『あんたいいかげん婚活は?』などと厳しいことを言うクリエイティブにターゲットとなる独身ユーザーが反応します。性別と年代によって刺さるメッセージは異なるので ...