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広告・メディア界の礎を築いた人々

名コピーを生む小説家、開高健・山口瞳

岡田芳郎

テレビが影響力のある最大のマスメディアであることに疑いの余地はない。しかし、1990年代以降のインターネットの台頭から、その王権が徐々に陰りを見せはじめているのも事実である。日本でテレビが放送された1953(昭和28)年から、60年が経った今。草創期に活躍した先人の志と業績をたどり、原点に立ち返ることで、テレビ、そしてマスメディアの新たな可能性を探る。

「洋酒天国」を創刊

広告人としての開高健(1930(昭和5)年12月30日~1989(平成1)年12月9日)と山口瞳(1926(大正15)年11月3日~1995(平成7)年8月30日)は一時期、壽屋(サントリー株式会社)宣伝部員として、机を並べていた。山口が1958(昭和33)年3月、31歳で壽屋に入社したのは、当時「洋酒天国」(壽屋発行)編集長をしていた開高の推薦による。その2カ月前、開高健は小説『裸の王様』で芥川賞を受賞していた。年齢は山口の方が4歳上だが、壽屋では開高が先輩になる。山口は作家として多忙となる開高の後釜として迎え入れられたのだ。

「洋酒天国」は壽屋のPR誌として1956(昭和31)年4月に創刊され、1964(昭和39)年2月、第61号で休刊となるまで「トリスバー」の常連たちに愛される実にユニークな遊び心いっぱいのタウン誌だった。ここにはまさに昭和30年代の粋でおしゃれでスマートな夢が詰まっていた。「洋酒天国」という誌名は当時の専務・佐治敬三(後に社長)の命名だ。第1号はこのような目次である。

【・写真 パリ―の酒場 木村伊兵衛、(蚤の市)パイプ 高橋龍太郎 ・色刷 (サロン・ド・ノメエ)アンショアとオリーブ 青山義雄、(私のコクテール) 横山隆一、小夜福子 ・対談 戦前と戦後のスコッチ 石川欣一、本多春吉 ・本文 呑気話(1) 吉田健一、西洋合財袋(1) 春山行夫、味を楽しむ 中谷宇吉郎、フランスの酒 佐野繁次郎、名もなき葡萄酒のはなし 福島慶子 女性に好かれるコクテール酔族館 乱反射 ・ノーメル賞応募規定発表】

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