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ニュースから見る広告の近未来

レクサスがSNS活用、米NBC番組で視聴者参加のライブCMを実現

織田浩一

ニュースのポイント:自社内エージェンシーが伸びているのは予算もさることながら、リアルタイムマーケティングへの対応が急速に進んでいるためでもある。ソーシャル、モバイル、検索、コンテンツマーケティングで、消費者の反応に対して迅速に反応していくことが求められ、ホームランを目指すというよりは短打やバントを数こなして成功していくことに注力しているためである。

maxym / 123RF ストックフォト

レクサスがSNS活用、視聴者参加のライブCMを実現

NBCで木曜夜放送のトークショー『Late Night With Jimmy Fallon』において、10月10日までの期間中に毎週、番組の中で視聴者からCMのコンセプトを募集。「#LexusIS」ハッシュタグをつけて寄せられたSNS投稿をもとに、最後のコマーシャル枠でコメディアンらのショートコントによるレクサスのコマーシャルをライブで行うという試みが始まった。

このキャンペーンは「It's Your Move After Dark(夜になったらあなたの出番)」をテーマに、番組のセットからではなくニューヨークのブルックリン橋下から中継される。NBCは放送前日の水曜に15秒のプロモーション映像を流し、より多くの視聴者の参加も促した。Garmin やQuiznos、ニコンも最近、深夜トークショーの『Tonight Show With Jay Leno』や『Jimmy Kimmel Live』でライブコマーシャルを実施しているが、これは番組がすべて生放送だった時代のリバイバルともいえる。

■ソース:「アドエイジ」9月18日
Lexus to Air Live Ads, Fueled by Social Suggestions, During NBC's 'Late Night'

ファストフード大手がモバイル活用のサービスに注力

スマートフォン活用に関しては、これまで有料広告やアプリの展開程度で、大幅に遅れを取っていたファストフード業界が変化し始めている。最大手のマクドナルドは先日、ユタ州ソルトレイクシティとテキサス州オースティンでモバイル支払いの試行をしていると発表した。テスト内容には、モバイルから注文した後、店舗や外の道端、ドライブスルーで商品を受け取れるサービスやプロモーション、ロイヤリティプログラムも含まれる。KFCやバーガーキング、ウェンディーズも一部地域を対象にモバイルサービスを試行中だ。

成功例としてはドミノピザの配達状況追跡アプリが人気のほか、モバイル支払い、ロイヤリティプログラムに関してはスターバックスが先行する。ドミノピザでは、注文の35%がデジタルチャネルから来ており、1年前の23%から増加。また、そのうち3分の1がモバイル経由だという。モバイル化の波は小規模な外食企業から大手チェーンへと徐々に広がっている。

■ソース:「アドエイジ」9月23日
Fast Feeders Moving Slowly Into Mobile Payments and Ordering

YouTubeとFox Sports、動画広告を共同販売

Fox SportsとYouTubeは、Fox SportsのYouTubeチャンネル上での広告の共同販売に合意した。第一弾として、全米フットボールリーグのシーズンにともない配信が開始されるアメフト番組で、バーガーキングをスポンサーとする広告表示やコンテンツへのロゴ配置が行われるという。

Fox SportsのYouTubeチャンネル登録ユーザー数は約6万9000人と、ESPNの約120万人に比べ小規模だが7月、8月に視聴回数が2200万ビューを超えるなど、一定のリーチを確保している。詳細は公表されていないが、今回バーガーキングは、 視聴回数とインプレッション数の保証を受ける契約であるという。2社の収益分配率も不明だがYouTubeは通常、大手企業がパートナーの場合は広告収益の45%を得ている。ESPNに対抗してローンチされたFox Sports 1は、現在、TVスポットとYouTubeでの広告を合わせた販売はしていないが、その可能性を探っているという。

■ソース:「アドエイジ」9月20日
YouTube, Fox Sports Team Up for Online Video Ad Sales

報道機関が悩むスポンサード・コンテンツの対価

収入の減少が問題となっているニュースメディアでは、広告の獲得に様々な工夫を凝らしているが、マーケターに人気が高いのはスポンサー記事だ。読み物として書かれているため、「広告」というイメージが和らぐことが魅力の一つとなっている。

eMarketerによれば、マーケティング業界の2013年度のスポンサード・コンテンツ費用は、2012年から22%増の19億ドルと予測され、2017年には31億ドルにのぼる見込みという。一方で、2013年の雑誌・新聞の印刷広告費用は32億ドルと、昨年の33億ドルから比較して減少傾向にある。メディア側でもスポンサー記事の獲得に、執筆陣や内容の質、傾向などを提供して広告主にアピールしてはいるが、その結果、報道と広告の境界が曖昧になることが報道倫理の観点から問題視されている。こうした指摘を受け、連邦取引委員会では12月に、スポンサー記事のガイドラインを指導するワークショップを開催する予定だ。

■ソース:「アドエイジ」9月23日
News Organizations Face Tricky Trade-Off With 'Sponsored Content'

広告予算縮小で高まる、企業の自社内エージェンシー依存

広告予算削減にともない、自社内のエージェンシーを活用するマーケターが増えている。ANA(米主協)が203社のマーケターを対象に行った調査によれば、自社エージェンシーの普及率は2008年の42%から2013年には58%まで上昇。5年前には対象の半数が自社エージェンシーを有していないと答えたが、今年は32%に減少しており、さらに4%は今後開設の予定があるという。対象の56%は、以前は外部に頼っていた業務を自社に移したと答え、うち40%近くがその内容をクリエイティブ戦略としている。現在はSNSなどを通じて自社で実施できるアプローチも多く、メディア企業と直接協力して見識やクリエイティブ面のアイデアを得ることもできると、ANAの社長兼CEOのBob Liodice氏は指摘する。

統一された知識の共有も利点とする自社エージェンシーだが、不利な面としては、広告のトレンド把握(45%)やクリエイティブ面の革新性(43%)が挙げられている。

■ソース:「アドエイジ」9月5日
Leaner Ad Budgets Mean More Marketers Rely On In-House Agencies, ANA Survey Finds

グーグルのクッキーに代わるID導入に懸念の声

ブラウザの行動追跡にこれまで利用されていた第3者クッキーに代わる、新しい識別子の開発導入をグーグルが計画していることを受け、デジタル広告関連業界では支持と懸念の声、双方があがっている。

グーグルはまだごく初期の段階で、さまざまな案を検討しているところ、と述べてはいるが、導入のタイミングや形態によっては大きな混乱が生じる可能性もある。しかしプライバシー保護の観点から第3者クッキーが問題視されている現状と、従来のクッキーがモバイルの追跡に適さない問題もあり、移行は必要という声は多い。一方で、グーグルが新技術の利用を独占的にコントロールすることの懸念の声もある。

グーグルで はクロスチャンネル・ターゲティングに関してすでに、同社のさまざまな製品を通じて、総合的なユーザー・プロフィールの獲得を試みているが、新しい広告用IDの普及によって、ウェブ全体に可視化を広げる可能性もある。

■ソース:「アドウィーク」9月19日 
A Google Cookie Replacement Could Upend Online Advertising

織田浩一(おりた・こういち)氏

デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービスを日本大手広告会社、WEB制作会社、総研などに提供。広告・メディア業界におけるR&D業務のサポートを行っている。オンライン、オフライン広告の近未来に関するブログ、メルマガを下記のアドレスにて公開している。 http://www.adinnovator.com
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