ニュースのポイント:早速Chromecastを買って使っているが、まだコンテンツが少なくこれからという感じである。ただ、テレビ端末を作るというものから、どのテレビ端末にもアプリを出していくという戦略のシフトが見られる。iPhoneの中に、グーグルアプリを出すことで利用時間のシェアを奪っているのと同じ様な戦略だ。
スタートアップ企業30社に500ドル ドミノピザが「ピザ投資」
ドミノピザは、スタートアップ企業とイノベーションを称賛する「ピザ投資」キャンペーンを開始した。長年の代理店であるCP&Bが制作した新しいキャンペーンは、アメリカ人の職業人生はピザが原動力になっているという点に着目し、ドミノピザCEOからのレターと表彰状を500ドル分のピザギフトカードとともに30社のスタートアップ企業に贈呈するというもの。
またクラウドファンディングサイトのIndiegogoとコラボし、資金確保に成功したプロジェクトの貢献者(ある一定額以上の投資を行った人)にもギフトカードを贈呈する。ピザの力を借りて仕事を行う人々を紹介するテレビCMや、ピザを食べて何を達成したかを「#Poweredbypizza」のハッシュタグで共有するソーシャルキャンペーンも行っている。
■ソース:「アドエイジ」8月5日 Domino's Will Fund 30 Start up swith $500 ‘Pizzavestments’
ツイート量とTV番組視聴率に相関関係
ニールセンはテレビ番組の視聴率とツイート量の相関関係を調べる調査を実施。調査はMcKinsey社との合同ベンチャーであるSocial Guideを活用し、ゴールデンタイムに放映される211件の番組を対象に行われた。
これによれば、48%の番組で視聴率上昇がツイートの増加を生み出し、29%の番組でツイートの増加が視聴率の上昇を引き起こしており、両方向の相関関係が確認できたという。ただし人気司会者オペラが、ドーピング問題を引き起こしたアームストロング選手と対話をした番組など、必ずしもツイートと視聴率が相関しない事例が存在すること、ソーシャル・エンゲージメントの高い番組のみを選択したのかなど調査手法・結果に明らかでない点があることも否めない。とはいえテレビCMを視聴した人向けに広告を配信する、テレビ広告ターゲーティングサービスを新しくリリースするTwitter社にとって、双方の相関関係が証明されたことは追い風になるだろう。
■ソース:「アドエイジ」8月6日 Nielsen Study: Higher Tweet Volume Drives TV Tune-In 29% of the Time
アマゾンのCEO、Jeff Bezos氏がワシントンポストを買収
アマゾンのCEOであるJeff Bezos氏は、ワシントンポストとその姉妹紙を2.5億ドルで買収することに合意した。傘下の他の事業The Root .com、Foreign Policy、Kaplan EducationalとソーシャルエージェンシーのSocial Codeはこの合意に含まれず、引き続き同社の傘下となる。
ワシントンポストの新聞部門は、過去6年間で売上が44%減少。デジタル収益を素早く成長させることにより、モバイルチャネルやデジタル広告テクノロジーへの投資と、紙媒体の売上減を補っており、今年第二四半期の売上は2012年から横ばいの1.38億ドル。第二四半期のデジタル部門の売上は15%増の2950万ドルであるのに比べ、印刷媒体の広告収入は5450万ドルと4%減少した。Bezos氏は、これから同社で何らかの変化を起こすとコメントしているが詳細については触れていない。ただWashington社は、今回の買収 により、CEOを含め解雇の予定はないとしている。
■ソース:「アドエイジ」8月5日 Amazon CEO Jeff Bezos Buys The Washington Post
デジタル機器の利用 初めてテレビの視聴時間を上回る
eMarketerの調査によれば、米国の成人が一日にデジタル機器利用に費やす時間の平均は、2011年の3時間50分、2012年の4時間31分から今年は5時間9分と増加。一方、テレビ視聴時間は4時間31分と昨年の4時間38分と比べてほぼ横ばいで、今年初めて、米国成人のデジタル機器利用時間がテレビ視聴時間を上回った。
メディア消費時間は昨年から13分増の11時間52分で、ラジオと印刷媒体以外は増加。また電話以外のモバイル利用時間の平均は2時間21分と昨年から46分も増加した。またスマートフォン、タブレット、フィーチャーフォンの利用時間は、PC利用時間平均の2時間19分を上回ったが、これは米国成人の20%にあたるインターネット無利用の人口が反映されたものだとeMarketerはコメントしている。調査は全てのメディア毎の消費時間を統計したもので、テレビを見ながらタブレットを使用していた場合にはそれぞれに時間が加算されている。
■ソース:「アドエイジ」8月1日 U.S. Adults Now Spending More Time on Digital Devices Than Watching TV
世界最大の広告会社 Publicis Omnicom Group誕生
フランスのPublicisと米国のOmnicomが合併を発表したが、これにより売上高230億ドル、従業員13万人の世界最大の広告会社が誕生する。本社はオランダに設置されるが、ニューヨークとフランスは引き続きオペレーションの拠点となり、不動産の統合や運営のシナジーで5億ドルのコスト削減を目指す。最初の2年半はLevy氏とWren氏の共同CEO体制となるが、その後はWren氏がCEOを引き継ぐ計画だ。
米国の広告会社全体の売上合計356億ドルに対し、2社の米国での合計売上高は114億ドルで、WPP社の米国売上の2倍を超える。また2社の2012年の売上合計は、世界の大手広告代理店50社の全世界売上合計の31.5%(現在トップのWPPは22.8%)を占め、独占禁止法に触れる可能性があるが、Levy氏によればフランス政府は合併に好意的だという。共有の広告主はJohnson&Johnson、McDonald's、P&Gなど。
■ソース:「アドエイジ」7月28日 Publicis Omnicom Group: All the Facts You Need to Know
Chromecastでグーグルがテレビチャネルへ挑戦
グーグルはHD TVに差し込むことで、モバイル機器からオンラインビデオや音楽をストリームできる装置「Chromecast」をリリースした。
これはインターネット接続サムドライブのような小型装置で、「AppleTV」のグーグル版とも言えるがAndroid、iOS、WindowsおよびChrome OSを搭載したPCにも対応している他、値段が35ドル(「AppleTV」は99ドル)と低価格であることが特徴だ。さらに「Chromecast」の購入1件につきNetflix (グーグルの主要コンテンツパートナー)サービスを3カ月無料で提供するなど、一気に普及させるのが狙いのようだ。
ComScoreによれば現在、全世界で毎月2000億件ものオンラインビデオが視聴されているという。またビデオ分析企業のOoyala によれば、2012年におけるタブレットやスマートフォン上で視聴されたビデオの数は270%増加したという。グーグルはこの市場でのポジション確立を目指す。
■ソース:「アドウィーク」7月24日 Google Tries to Channel TV Again with Chromecast
織田浩一(おりた・こういち)氏デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービスを日本大手広告会社、WEB制作会社、総研などに提供。広告・メディア業界におけるR&D業務のサポートを行っている。オンライン、オフライン広告の近未来に関するブログ、メルマガを下記のアドレスにて公開している。 http://www.adinnovator.com |