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ニュースから見る広告の近未来

Pinterestが初のマーケター向けイベント、「ビジュアルウェブ」宣言の真意

織田浩一

ニュースのポイント:データ利用による付加価値を出すために、マーケティングとITはますます近い関係になっていくという話題。広告主、広告会社、メディア会社などでも、人材の取り方が非常に変わりつつある。広告主サイドにもデータサイエンティストが多数いる時代になっている。

ABC広告測定テスト、効果検証をモバイルまで拡大

ABCはアップフロントでのプレゼンテーションで、ニールセンとのオンライン広告測定テストをモバイルにまで拡大すると発表した。広告投資はオンラインコンテンツにシフトしているものの、デジタル視聴のユニバーサルな測定方法がないことが欠陥となっていただけに、大きな反響を呼んだ。

ABCではオンデマンドに限らず、番組をライブでモバイルストリームできるアプリ「Watch ABC」をリリースしているが、同社マーケティングVPによれば、アプリ経由の視聴は昨年2月から今年2月までで71%上昇したという。広告主に全てのスクリーンにおける番組コンテンツ購買を促すため、今年始めからニールセンのオンラインキャンペーン測定を導入。テレビおよびオンラインでのビデオ配信保証を広告主に提供してきた。既に独自の測定サービスを提供してはいたが、ニールセンが入ることで、より正確なデータが提供できるようになるとしている。

■ソース:「アドエイジ」5月14日 ABC to Test Expanding Nielsen Ratings to Mobile

米国のモバイルユーザー過半数がスマートフォンに

調査会社eMarketerの最新レポートによれば、2012年のスマートフォンのマーケットシェアは50.2%と2011年の39.1%から11%増加し、米国のモバイルユーザーの過半数がスマートフォンユーザーとなったことがわかった。 

またノルウェー、スウェーデン、英国、韓国、 オーストラリアも2012年にスマートフォンユーザーが過半数を超えており、カナダ、デンマーク、オランダ、フィンランドを含む6カ国が2013年に過半数を超えると予測されている。

全世界におけるスマートフォン普及率は、2013年時点でモバイルフォンユーザーの3分の1以下と遅れてはいるが、2017年には49.3%と約過半数に達する見込み。

スマートフォン所持者の数では、2013年時点で中国が4.15億人と世界一の座を保持する予測。第2位の米国の所有者数は1.4億人と、中国の所有者数の3分の1以下に留まるとしている。

■ソース:「アドエイジ」5月28日 A Majority of U.S. Mobile Users Are Now Smartphone Users

Pinterestが初のマーケター向けイベントを開催

Pinterestは300名ものマーケターやエージェンシーを集め、初となるパートナーイベントをニューヨークで開催した。自らをソーシャルメディアプラットフォームではなく、「ビジュアルウェブ」であり検索サービスと位置づけていることを明らかにした。

人々はグーグルを事実に基づく答えの検索のために利用するが、Pinterestはインスピレーションを検索する場と言える。人を介して自分の好みや欲求を知る、あるいは理解することを助ける、いわゆる具体的な行動や購買を引き起こすデマンド生成が目的だと言えるだろう。

Pinterestは、新機能「rich pins」を開始し、レシピや価格、どこで買えるか等の情報をイメージに添付することが可能になっているが、これは急速に進むコンテンツとコマースの収束を活かし、好きなものを発見した人々を行動に促すための仕掛けの好事例と言えるだろう。

■ソース:「アドエイジ」5月24日 As Pinterest Meets With Marketers, Evolving Business Model Gets Clearer

データを活用するCMOとCIOの世界が融合している

Ad Age Marketing and TechnologySummitにて、GEのグローバルイノベーション統括は、今後10年間で500億台以上の産業機械がネットにつながる時代が訪れると発表した。またこのサミットでは、企業内の莫大な量のデータを管理するため、CMOがCIOと連携する必要性について議論がなされた。

保険会社NationwideのCMOは1億ドルをかけ、別々に管理されていたマーケティングとその他データを統合、CRM データプラットフォームを構築したことを発表した。Motorola Solutionsのマーケティング・IT担当VPは、マーケティングとITの関係について、当該企業の18~20%のマーケティング担当者がテクノロジー関連の業務を行っているというデータを発表。レイザーフィッシュのCEOとCTOは、CourseraやUdemyなどの新興オンラインビジネスを取り上げ、マーケターもテクノロジーの可能性を理解する必要があると提案した。

■ソース:「アドエイジ」5月21日 Worlds Collide: The New Data-Focused CMOs and Their CIO Counterparts

コンテンツ拡販に期待CNNとELLEがGoogleグラスをテスト

I/O Developer Conferenceにて、CNNとELLEは、The NewYork Timesに次いで、Googleグラス向けアプリ「Glassware」を発表した。

Googleグラスアプリは広告配信機能がなく、開発者を中心とした少数グループでのみ利用可能であることからも、現状で得られる利益は極小であるが、参画企業にとってはGlasswareに参加することで、モバイル全般におけるよりよい体験のデザインを学べるメリットがあるようだ。

ELLEは星占い、セレブ情報やストリートファッションなどを集めたコンテンツを提供。テキストよりも画像に特化し、オプションで記事の音声朗読や保存機能も提供している。

対してCNNは、特報、テクノロジー、政治、ビジネスを含むメニューから1日に18件のトップ記事を配信。購読者はサマリーをレンズで読む、記事を音声朗読する、ビデオクリップを視聴することが可能だ。

■ソース:「アドエイジ」5月17日 CNN and Elle Test Google Glass as a Way to Push Content to more People

Twitterがリターゲティングエクスチェンジを計画

関係者筋によればTwitterがIPOに先駆け、広告主が自社のウェブ訪問者をTwitter広告でリターゲットできる、フェイスブックエクスチェンジ(FBX)と似た機能を持つエクスチェンジの構築を計画しているという。YahooのRight MediaでP&Gらの前例があるように、広告主がエクスチェンジ購入に直接関わる仕組みを検討しているなどアプローチは少し異なるようだ。

広告会社のNanigansは今年始め、フェイスブックのニュースフィード上にある広告枠のCPCが、スタンダード広告の枠より48.8%低く、クリック率が17倍であると発表したが、FBXは自動購買や非スタンダード広告ユニットのトレンドを定着させており参入しやすい環境が整っていたと言える。eMarketerはエクスチェンジ導入でTwitterの広告収入が、今年の5億8280万ドルから来年は9億5000万ドルに増加すると予測。うまくいけばIPOのよい前後策になりそうだ。

■ソース:「アドウィーク」5月30日 Twitter Prepping Ad-Retargeting Exchange to Rival Facebook's

織田浩一(おりた・こういち)氏

デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービスを日本大手広告会社、WEB制作会社、総研などに提供。広告・メディア業界におけるR&D業務のサポートを行っている。オンライン、オフライン広告の近未来に関するブログ、メルマガを下記のアドレスにて公開している。 http://www.adinnovator.com

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