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ニュースから見る広告の近未来

米主要自動車メーカー、デジタルへの投資が前年比34%増

織田浩一

ニュースのポイント:アメリカでのビデオ広告はテレビ局などの高品質コンテンツも豊富にあり、ターゲティング機能もあることから単価を高く設定できるため、テレビ予算をシフトさせながら伸びている。特に人気コンテンツは希少価値から単価が高い設定になっている。日本もいよいよビデオ広告元年という感じで動いているようだが。

Foursquareがチェックイン後のターゲティング広告開始

Foursquareがチェックイン後の広告サービスを開始した。ラム酒ブランドのCaptain Morgan は、特定のバーやレストランでチェックインをしたユーザー向けに、同社の商品を使ったカクテルを提案する広告を配信。トイザらスも公共プールにチェックインしたユーザーを対象に20%オフクーポンを配信するなどしている

課金は「アクション」ベースで、広告がクリックされるか保存された場合にのみ課金される。また競合店にチェックインしたユーザー向けにクーポン等を配信する行為は認めていない。広告主は個人をターゲットにすることはできず、「ビジネス旅行者」といったグループでのターゲティングとなる。

一時期言われた「企業価値 7.6億ドル」を証明するため、収益確保の圧力がかかっている様子だが2012年5月時点のスマートフォン月毎ユニークビジター数は600万人。昨年11月に759万人と最高に達したが今年5月時点では700万人強と多少減っている。

■ソース:「アドエイジ」7月16日 Captain Morgan Starts Targeting Ads At Foursquare Check-Ins

政府のデータ要求に落としどころ探るデジタル企業の動き

米国家安全保障局(NSA)の「PRISM」スキャンダル以降、Yahoo、Google、Microsoftなどデジタル企業各社は、政府のデータ要求に関する情報公開を嘆願するなど、利用者の信頼回復のための活動に必死だ。

Yahooは2008年、秘密連邦裁判所からのユーザー情報開示命令に対する合憲性について異議申し立てを行っており、このほど敗訴した判決理由を公開することが許可された。これが、この活動の先端事例と言えるだろう。

 

信頼を守るためには、「政府に認可された法律に従った」ことをアピールすべきだが、国家安全とプライバシーの権利が相反するケースでは「国家安全のためにプライバシーを犠牲にした」と見られることは避けなければならない、とコンサルタントは指摘する。

GoogleやMicrosoftも秘密連邦裁判所にNSAからのデータ要求の回数を公開する嘆願書を提出。プライバシーを重視し、毎回要求に応じているわけではないことを示したい考えだ。

■ソース:「アドエイジ」7月17日 Digital Companies Seek Delicate Balance on Government Data Requests

主要自動車メーカーデジタルへの投資が前年比34%増

調査会社Kantar Mediaによれば、米国の主要広告主100社に含まれる10の主要自動車メーカーの2012年のデジタル広告費は58.2億ドルで2011年と比べて34%増加した。また2012年の10社のテレビ広告費は6.25億ドルと、前年比で7.3%増加しているが、その背景には新型車発表時にはテレビ広告が欠かせないこの業界ならではの特性が背景にあるようだ。

またホンダのメディア戦略責任者によれば、自動車メーカー各社はビデオメディアを統合的に利用してブランド認知を高める戦略に乗り出しており、ケーブル番組とのタイアップも反響が高いという。

主要10社が昨年度従来メディアに費やした広告費は82.6億ドルで、前年度比2%の伸びに留まっており、成長したのはテレビとアウトドア分野のみ。Fordは2011年に早くもデジタルメディア広告費が 従来メディア広告費を超えたが、昨年のデジタルメディア広告費の割合は53%と拡大した。

■ソース:「アドエイジ」7月8日 Automakers Like Video, But Still Pour Gas On TV For Big Product Launches

収益確保のため、LinkedInがコンテンツを強化

LinkedInはユーザーのニュースフィード上にネイティブ広告を表示する、「スポンサードアップデート」 のパイロットテストを開始。全四半期の同社の広告収益は7480万ドルと、収益全体の23%に留まっており、豊富なコンテンツ配信によりユーザーエンゲージメントが増しマーケターからの需要が増加することが期待されている。

コンテンツマーケティングプラットフォームへ転身を図りたいLinkedInは、 昨年10月に「インフルエンサープログラム」を、2011年 には「LinkedIn Today」を導入したが、ブランド広告主からは、まだ「キャリア ネットワーク」と見なされる傾向が強い。またComScoreの調査によれば、月毎のサイト訪問者数は、昨年5月時点の3760万人から今年は5210万人と増えているものの、平均滞在時間は20.9分から20.6分と横ばいだ。コンテンツが増えれば、マーケターは注目していくと思われるが、それには、まだ時間がかかりそうだ。

■ソース:「アドエイジ」7月2日 LinkedIn Ramps Up Content In Pursuit of Ad Dollars

現物のレシートを使用Walmartの価格比較広告

ニュースのポイント:Walmartは70の地域で価格比較広告を配信・掲載しているが、これが各地域でのマーケットシェアを拡大する理由の一つとなっているようだ。これは、競合するスーパーマーケットのレシートと比較して、各商品がWalmartであればいくらで購入できたかを示すというもの。競合各社はこの広告に異議を唱えており、州検事総長に捜査を依頼するなどしているが、今のところ正式な査察は行われていない。

最近、行われた株主総会インタビューにて最高マーケティング責任者のQuinn氏 は、この広告では一定の手続きに基づき、一般買い物客のレシートを使用しており「やらせ」ではないと説明。また最も反響が大きかった事例は、「ガソリンポイント」で2.15ドル安くガソリンを購入して喜んでいた女性が、実は他の買い物で30ドルも損をしていたことが分かり驚くというエピソードだ。「あの顔は女優を雇ってできるものではない」 と、「リアル」であることの重要性を強調した。

■ソース:「アドエイジ」6月25日 Walmart Getsa Boost From Local Price -Comparison Ads

雑誌のiPad版広告ユニット数が第一四半期に24%増

Kantarメディアと米国雑誌発行者協会が雑誌社58社に対して行った調査によれば、今年度第一四半期のiPad版雑誌の広告ユニット数は5961で、前年度同期の4824と比較して23.6%増加した。印刷媒体の広告ユニット数は1万707と前年度比ほぼ横ばいで、印刷とiPadを併せた数は前年度比7.5% の増加。iPad広告はインタラクティブな機能が求められるため、制作コストが高いという障壁もあるが、マーケターは印刷媒体社のiPad広告への移行を強く促している。

Bloomberg Businessweekは22万5000人のモバイル・タブレットユーザーを保持しているが、iPadで提供する四半期スポンサーシップパッケージは、フルページ広告を含めて8万5000ドルである。需要も高いため、ディスカウントしておらず、第一四半期のアプリケーション収益は前年度比147%成長した。iPad広告への注目は集まっているが、今後はより詳細なパフォーマンスデータが必要とされる。

■ソース:「アドウィーク」6月24日 Magazines' iPad Editions See 24% Ad Boost in Q1

織田浩一(おりた・こういち)氏

デジタルメディアストラテジーズ社代表、アドイノベーター編集長。米シアトルを拠点とし、欧米の新広告手法・メディアテクノロジー・IT調査・コンサルティングサービスを日本大手広告会社、WEB制作会社、総研などに提供。広告・メディア業界におけるR&D業務のサポートを行っている。オンライン、オフライン広告の近未来に関するブログ、メルマガを下記のアドレスにて公開している。 http://www.adinnovator.com

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