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私の広告観

広告写真家にとって良い写真は、消費者の行動に結びつく写真

善本喜一郎(広告写真家)

雑誌メディアの全盛期を経験し、また広告写真家としても活躍してきた善本さん。現在は、日本の写真文化の底上げをめざし、写真を活用した子どもの教育にも力を入れている。

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よしもと・きいちろう
ビジュアルアーツ(東京写真専門学校)芸術コース 森山大道、深瀬昌久ゼミ卒業。『平凡パンチ』(現・マガジンハウス)特約カメラマンとなり、表紙からグラビアとあらゆるものを撮影。その後もマガジンハウス各誌のほか、講談社、小学館、朝日新聞、日経BP社などでも活躍。その後、タイアップ広告や純広告を数多く撮影し、北島康介Arena2002シリーズ広告で『年鑑日本の広告写真2004』入選掲載、JTB「旅へ」広告写真でAPAアワード2009広告作品部門入選など受賞多数。日本広告写真家協会専務理事、宣伝会議「編集・ライター養成講座」講師。

高校生の頃から写真が好きで、浪人時代にも予備校にカメラを持って行くほどでした。運命が決まったのは、20歳を迎えた二浪目の夏。忘れもしない1980年8月6日、写真家・荒木経惟氏の著書『写真への旅』の出版記念サイン会に行った時のことです。会場には、他に若い人がほとんどおらず、目立っていたこともあったのか、荒木さんがお茶に連れて行ってくれました。写真の話をいろいろと聞かせてもらうなかで、「荒木さんが尊敬する写真家は?」と尋ねると、「森山大道」との返事が。当時の私は森山さんのことをあまり詳しく知らなかったのですが、どうやら東京写真専門学校で教鞭をとっているらしいことが分かり、即座に「そこに行こう!」と決意しました。二浪して専門学校――両親は呆れていましたし、親戚や友人・知人も驚いていたと思います。

とは言え、「好きなものを撮って食べていく」ということがどんなに難しいことなのかは、荒木さんはもちろん、一流の写真家の活動を見ているなかで、ひしひしと感じていました。森山さんのゼミに所属する学生同士で自主ギャラリーを展開し、それが写真雑誌で紹介されることもありましたが、何しろ「楽しいけれど、お金にはならない」。

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