社員の安全を最優先とする方針のもと、2月26日から一部社員で在宅を基本とした勤務態勢を発表。以前から社内理解促進に努めていた資生堂はコロナ禍にどう対応したのか。

2016年開設の資生堂の社内ウェブサイト「WITH」のトップページ。
資生堂は海外売上比率が50%を超えるなど、グローバル化を加速。「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、2019年には企業使命を新たに「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」とした。今後、この企業使命のほか、DNAや理念の浸透は不可欠と考えた。そこで、インターナルコミュニケーションに力を入れている同社の取り組みを、グローバル広報部インターナルコミュニケーショングループの丸山鉄臣氏に聞いた。
タイムリーに情報発信
インターナルコミュニケーションの肝となるのが社内ウェブサイト「WITH」だ。2016年から、グローバル共通のプラットフォームとなった。「資生堂の全社員が経営戦略と世界中のニュースを共有できるプラットフォーム」をうたう同サイト。丸山氏ら同グループのメンバーが運用する。内容は、トップメッセージから、海外を含めたローカルイベントなど、コンテンツは多彩だ。
また、開始当初は閲覧率が伸び悩んだものの、打開策として、一部のコンテンツに動画やライブ配信を盛り込むようにした。結果、「WITH」へのアクセス数は伸びたという。「伝えるべきメッセージをもとに、動画やライブ、さらにはテキストなど最適な手法を選択しています」と丸山氏は語る。
では、ライブ配信に適したコンテンツとは一体何だろうか。一例として、各エリアのトップが日本に集結し、翌年の経営方針を発表する一大イベント「One Shiseido Summit」を挙げる。
「本イベントは限られたエグゼクティブしか参加できません。本年度、CEOプレゼンテーションから、ゲストスピーカー講演までライブ配信を実施。欧州では時差の関係で夜中の視聴に。それでもなおリアルタイムで観た社員は複数いて、視聴した社員らは『トップの考える経営方針をリアルタイムで観られるのは非常にモチベーションにつながる』と感想を述べていました。そういった能動的に情報を入手しようとするアーリーアダプターな社員は、将来、会社を背負って立つことになるかもしれません。そんな社員のモチベーションアップにつながる意味で、また変化が激しい現在においてライブ配信は経営を加速させる重要なコミュニケーションツールです」。