世界経済がコロナで大打撃を受けている。そのひとつが航空業界だ。大幅な減便・運休で、業界全体が危機的状況の中、ANAグループのトップ・片野坂真哉CEOは“原点”に立ち返る姿勢を示した。
全日本空輸などを傘下に持つANAホールディングス。同社の2020年1~3月期の連結最終損益は587億円の赤字に。コロナにより航空需要が激減したのだ。その対策のひとつとして、グループ社員を1カ月あたり数日程度、一時的に休業させる「一時帰休制度」を導入(対象はグループ35社約4万2000人)。その他、夏季一時金の削減も決まった。こうした経営判断が下される中で、従業員に対してはどのようなメッセージが送られたのか。
「安全」と現状の課題をリンク
コロナの影響で、多くの企業がリアルなイベントを延期・中止にする中、ANAグループもグループ合同入社式の実施を断念。その経緯や想いを、ANAホールディングス広報・コーポレートブランド推進部の担当者はこう語る。「入社式は、新入社員にANAグループの方向性、経営メッセージ、歓迎の気持ちを伝える最も重要な場と考えています。
しかし、コロナの感染拡大防止のため、新入社員はじめ従業員・関係者の安全確保の観点から対面での入社式を中止する判断に至りました。そこで、今この激動の社会環境で入社した社員に対して、ANAホールディングスCEOの片野坂からのメッセージと共に、『グループ各社の先輩からの歓迎のメッセージ』を伝え、グループの一体感を醸成することが重要だと考えました」。
そして、その配信されたトップメッセージこそが、この厳しい環境下でも従業員エンゲージメントを保つ、ANAの“底力”を示すものだった。その一部を引用する...