長年にわたり社内コミュニケーションの支援を行ってきた産業編集センター。コロナ渦で、より実質的効果が重要となったコミュニケーションの方法を300社以上のサポート経験と知見をもとに解説する。
社内報の企画制作を中心に、ウェブやイベントなどを活用したインターナルコミュニケーション施策を提案している産業編集センター。近年「そもそもインターナルコミュニケーションは機能しているのか」「投資効果は出ているのか」といったコミュニケーションの本質的効果が求められきたが、コロナ渦でよりその傾向に拍車がかかっているという。今だからこそ求められる要素について事例とともに解説した。
今、不可欠な「FIN」
はたらくよろこび研究所部長の相山大輔氏は、同社がコミュニケーションの新しい形として定義した「FIN(Focused Internal News)」の重要性を説く。FINを構成する次の4つは、特に効果を可視化するうえで不可欠だという。
コミュニケーションの効果測定や社員への事前意識調査を行う「インコミサーベイ」、会社の公式見解を訴える媒体としての「社内報」、動画やスマホを活用したウェブコミュニケーションを指す「MovFIN」、ブランドステートメントに対して当事者意識を持つために社員が表現・アウトプットする機会を持つ「自分ごと化イベント」だ。
エモーショナルな仕掛けが鍵
セミナー後半は、インターナルコミュニケーションの成功企業に共通する8要素を紹介(図1)。「目的・目標が明確であること」「事前調査や効果測定を実施している」「ブランド理念をつくる段階から社員を巻き込んでいる」「職種や職位など階層別に中長期のコミュニケーションの計画がある」「媒体を組み合わせ、継続的かつ効果的に情報開示されている」「受け手である社員が自ら表現する機会がある」「ソーシャルグッド(もしくはエモーショナル)な仕掛けがある」「全社横断の運用体制がある」について、実践事例とともに解説した。
その❶ ➡ 目的・目標が明確
その❷ ➡ 事前調査や効果測定を実施している
その❸ ➡ ブランド理念をつくる段階から社員を巻き込んでいる
その❹ ➡ 職種や職位など階層別に中長期の計画がある
その❺ ➡ 媒体を組み合わせ、継続的かつ効果的に情報開示されている
その❻ ➡ 受け手である社員自らが表現する機会がある
その❼ ➡ ソーシャルグッド(もしくはエモーショナル)な仕掛けがある
その❽ ➡ 全社横断の運用体制がある
最近の傾向として多いという「ソーシャルグッド(もしくはエモーショナル)な仕掛けがある」の事例として、ある化粧品メーカーの取り組みを紹介。創業90周年事業の一環で制作したブランドブックやブランドムービーに、製品の愛用歴が長い顧客のインタビューや、地域貢献のエピソードを掲載して社会的意義を伝えることで、社員の使命感を生むきっかけになった例だ。
「従来は『業界No.1を目指そう』といった内容が主流でした。しかし今はそれだけではなく、自分たちの仕事が社会の役に立っている、弱者を救うかもしれないなどと、エモーショナルな琴線に触れる部分を盛り込むことがポイントです」。
講演の最後に相山氏は「『これさえやればうまくいく』というわけにはいかないのがインターナルコミュニケーション。身内が身内に発信していく難しさや、経営者目線と現場目線でコンフリクトしてしまう部分もあるかもしれません。担当者の方は、様々な視点を持ち、自分の会社ならではのコミュニケーションを設計していただければ」と締めくくった。
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