従業員約3000人へのアンケートで課題を抽出し、新たに社内向けウェブサイトを立ち上げたスクウェア・エニックス。緊急事態宣言解除後も原則在宅勤務を続けているが、コロナ前と変わらない質と量で情報を発信。社員に安心感を与えている。
「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」など人気タイトルを世に送り出してきたスクウェア・エニックス。社員数はここ10年で徐々に増え約3000人に。ソーシャルゲームの隆盛など、業界の変化に対応するため事業も多岐にわたる。そんな同社が今、力を入れているのがインターナルコミュニケーションだ。
同社広報室マネージャーの徳永美沙氏は、こう語る。「事業が拡大する一方で、『他部署の業務が分からない』など、社内コミュニケーションの鈍化を肌で感じるようになりました。そこで、2018年秋の組織改編で広報室が新設され、社内コミュニケーションの強化に取り組むことになったのです」。
全社アンケートで課題を把握
当時の広報室で社内コミュニケーションに着手したのは、室長と徳永氏の2人。まず2人が行ったのが、「当社に何が欠けているのか、何が課題なのか」を調査で明らかにすることだった。そして、約3000人を対象とした全社アンケートと約100人への個別ヒアリングを実施。「調査は大きく3つの軸で行いました。①企業理念の浸透具合②事業戦略の理解度③現状の社内交流の実情です。その結果、特に②と③に課題があると分かりました。管理職層の理解度が想定よりも低く、社内コミュニケーション環境に関する数値も低く出ました」と徳永氏は述懐する。
アイドルユニットと社長が対談
課題が浮き彫りになったところで、次は具体的な施策に移った。「すでに社内イントラネットはありましたが、それはあくまで業務ツールや人事など実務情報のポータルサイトという位置付けで社内コミュニケーションを目的としたものではありませんでした。そこで、社内コミュニケーションを促進する手段として、社内ウェブサイトを新たに立ち上げました」(徳永氏)。
それが2019年12月ローンチの「Bulletin Hub(ブリテンハブ)」だ。これは、各事業部の取り組みや人の横顔記事、社長メッセージ、企業理念にまつわる企画特集などを掲載したサイトで、記事は広報室が取材から編集まで行う。「トップページは、『行』にブリテン・ハブのコンテンツが、『列』に実務情報のタブを並べ、この1ページで両方にアクセスできるつくりです」(徳永氏)。
また...